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Blog「良し悪しあれど、住めば都」

2022.08.24

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4月中旬に引越してから4ヶ月

実際に住んでみないとわからないことはやっぱりたくさんあって

お風呂の追い焚きは水面ばかり熱くて底は冷たかったり

レンジとトースターを同時につけるとブレーカーが落ちたり

自転車ではとても漕いでは登れないほど急な坂の上に建つアパートの2階は

ベランダに洗濯物を干したくなくなるほどの風が吹き

日当たりは良すぎてオリーブの木は悲鳴をあげている(グングン育っているのでいいっちゃいいのかもしれないが倒れたり折れたり枯れたりしないかヒヤヒヤものである)

とはいえ、良いことももちろんある

住宅街なので朝も夜も静かだし

壁当てのできる公園も見つけた

最近になって宅配ボックスが付いたし

高い建物もないので空が広い

野良猫も見つけた

しかし、しかしだ

つい先日、引越してから1番の事件が起きた

夜になると、近隣の一軒家の電気は消え

うちのようなアパートの通路の照明ばかりが煌々と輝く

すると、真夏の火照らす熱帯夜には

セミやらカナブンやらがはちゃめちゃに飛び込んでくる

ひっくり返ってるくせに近づくと叫くセミたち

これが俗に言うセミファイナルかとか思いながら

間違っても家に入らないように気をつけてドアを開ける

事件は明け方起きた

午前5時頃だろうか、いつもより少し早く目を覚ました

燃えるゴミの日だったことを思い出し

サンダルを履く(クロックスってやつだ)

ホコリやら何やらがまだ舞い上がっていない、日の出間近の空気を吸いながら

ゴミ袋片手にゴミ捨て場へと足早に進む

違和感は突然だった

右足先に何やら柔らかくて10円玉サイズくらいのものが当たった

クロックスの中に何かがいる

脳裏によぎる昨晩のセミファイナルとカナブンフェスティバル

最悪だ

一心不乱に右足を振り回す

だが、かかと部分をクロックスががっちりホールドしている

クロックスの性能は素晴らしいぞ、全然外れない

何も今性能を証明しなくてもいいのだが

一刻も早くこの足先の物体とおさらばせねば、と

乱暴にかかとを外し

クロックスをひっくり返した

その中から出てきたのは



ばんそうこうだった

昨夜、右足の小指に巻いた絆創膏がすぽっと抜けて輪っかの状態で現れた

感触もサイズも質感も、全てが生き物を連想させるものだった

こんなものに自分は踊らされていたのか

1度に襲いくる安堵感と羞恥心

足の裏についた砂利を払って、クロックスを履く

そしてゆっくりと辺りを見回す

よかった、誰にもこの醜態を見られてはいなかったらしい

朝も夜も静かな、この街はとても良い街だ