Blog「坂道の途中」
2019.12.04
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恵比寿天窓.switchにて
リハーサルを終え、少しお腹が空いた僕
何かお腹に入れようとコンビニへ向かった
けれど、一番近くのコンビニに行くとなると、結構な坂道を往復しなければいけない
地味にしんどいなとは思いつつ
ライブ前のウォーミングアップだと思って駆け下りることにした
風を感じながら、足取りは軽く、心弾ませて行く、いざおにぎりの元へ
すると、坂道の途中、幼稚園児たちが乗ったカートを先生たちが押していて
どうやら、みんなで仲良くお散歩中のご様子だった
昼下がりにゆっくりと進んでいく、ほっこりする光景
みんな思い思いに遊んでいるようだったが、何ということだろう
突然、僕に気づくとこちらに向かってみんな揃って手を振り始めた
驚いた僕は、本当に自分に向けられたものかどうかで疑心暗鬼になり
もし笑顔で手を振り返してみても、実は後ろにお母さんがいて、恥をかくやつなんじゃないかと
恐る恐る後ろを振り返ってみた、が誰もいない
正真正銘、僕に向けられた幼い笑顔だった
はてさて、一体どういうことなんだ、この気持ちは何だろうか
たった一人、坂道を駆け下りる僕に向けられたエール
ゴールへ向かってひた走るレースに、街頭からの声援は力をくれる
僕は知ってる、これは駅伝だ
子ども達はどこかで目にしたのだろうか
お正月に家族につられてテレビに向かってランナーに声援を送ったのだろうか
それとも本能的に走っている人には手を振るようになっているのだろうか
だとしたらとんでもない発見だ、こんな話聞いたことないぞ
何にせよ、100%僕に向けられた純粋無垢な笑顔を前に
僕はただひたすら笑顔で手を振り返すしかなかった
恥じらいに負けて無視しては、大人は冷たいなんていう印象を与えかねないからね
純粋な気持ちを裏切ってはいけない!その一心だった
結局、子ども達を乗せたカートとは3台ほどすれ違ったが
どのカートの子達も、期待を裏切らず、駆け足の僕に向かって手を振ってくれた
すれ違ってしまった後には少しの寂しさもあったが
おかげでおにぎりを手にした帰りの上り坂も、ひょいひょいっと駆け上がることができた
応援は力に変わる、そう実感した瞬間だった
きっと駅伝を見た時には今日のことを思い出すだろう
そんなことを思った、ライブ前の一コマであった