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2017.02.23

04 Limited Sazabys Live Report

  • REPORT

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TEXT:ヤコウリュウジ

 昨年は地元・名古屋で主催フェスYON FESを大成功させる等、もはやロックシーンに欠かせないどころか中核を担う存在となった04 Limited Sazabysが自身初の日本武道館公演を開催した。
 虚勢を張るようなことは決してせず、着実に足を進め、ライヴハウスで音を鳴らし、己の存在感を知らしめていった彼ら。そんなバンドが成し遂げる武道館公演。当然のようにチケットはソールドアウトし、当日は全国各地から集まったオーディエンスのみならず、親交の深いバンドマンも数多く訪れていた。
 まず、会場が暗転するやいなや、ステージに張られた幕にライヴハウスで行ったリハーサルの風景が映し出される。メンバーの引き締まった表情を見つめていると、その幕にメンバーのシルエットが浮かび、いきなり「monolith」のイントロが奏でられるのだからたまらない。幕が開き、RYU-TA(G/Cho)が「行くぞー!」と叫んだ瞬間、メンバー自身も驚くほどの爆発音が鳴り響き、冒頭から会場は尋常ではない盛り上がりを見せていく。
 武道館公演を意識した、この日ならではの言葉を加えたGEN(Ba/Vo)の歌も伸びやかで、フロアはいきなりのモッシュ&ダイブが巻き起こるほど。初めての武道館。それ相応の緊張はあるはず。だが、そんなストレスを吹き飛ばすかのようにRYU-TAもHIROKAZ(G)もステージを所狭しと駆け回り、KOUHEI(Dr/Cho)も的確にリズムを叩き出していく。どんな環境にも左右されることない、ライヴハウス叩き上げのバンドならではの力強いスタートダッシュだ。

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 レーザー光線が飛び交い、妖艶な雰囲気の中でアタック感の強い「fiction」を繰り出したかと思えば、激しいドラムから一気に駆け出す「escape」へ。いい流れの中、「みなさんが安心して身を委ねられる音しか出さないんで楽しんでください」とGENが語り、RYU-TAが激しくアジテートするのだから、熱気の上昇は留まることを知らず「Chicken race」でより高みへと突き進んでいく。
 そして、ひと呼吸おき、GENが自らの誇りを感じさせる「名古屋のライヴハウスからここまで辿り着きました。名古屋の04 Limited Sazabysです」という挨拶から、集まったオーディエンスへ感謝の気持ちを述べる。そこから、軽快なリズムを刻み、シャレの効いた映像をバックに「Warp」を放ったかと思えば、一転して奥行きと柔和さを感じさせる「drops」に。こうやって自在に空気を操るバンド力。しっかりと地に足をつけてやっていきからこその巧みなアプローチだ。
 その後も攻め手は緩めず、「Now here, No where」や「labyrinth」と次々に投下し、ステージ上部のスクリーンにMVを映し出しながらプレイした「nem...」ではオーディエンスのテンションもさらに高まり、前へ前へと押し寄せていく。収録された3rdミニアルバム『monolith』のリリース当時では想像できなかったであろうその光景に、いろんな想いが頭をよぎったのだろうか。目に光るモノが見えたようにも感じたほど、GENの表情は感極まっていた。
 「初めての武道館公演、居心地はいかがでしょうか? 緊張し過ぎて、さっき乳首めっちゃ立ってた」とGENが笑いを誘った後、「こんないい場所で鳴らせて、曲たちも嬉しそう。曲数を結構やるから、知らない曲がきてもポカンとしないでね」との前フリから1stミニアルバム『Marking all!!!』に収録した「Grasshopper」を放ったのだが、そんな懸念をよそにイントロから大盛り上がりのフロア。待ちかねていたオーディエンスも多かったのだろう。噛み締めるように一音一音を味わい、大きなサークルを作り上げていく。

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 赤いライトに照らされ、大きな火柱が舞った「knife」ではヘヴィにエグりながら会場全体を揺らし、シンプルに強さを感じられる「Lost my way」ではGENの叫びのような歌声も突き刺さっていく。ダイバーも続出するほど、見事な加速っぷりを見せつけてくれる。
 中盤に入り、スクリーンには初期のライヴ映像から過去すべてのライヴ日程と会場がこれまでのアーティスト写真と共に流れていく。バンドの歩みを改めて噛み締めてると、GENが「Buster call」の冒頭を歌い上げ、「こんなんじゃ満足できないでしょ?」とオーディエンスを煽り、キレッキレなビートで攻めていく。エネルギーの放出具合が素晴らしい。そのままアグレッシブに「Remember」、「Any」と矢継ぎ早に放ち、会場の鼓動をよりテンポアップ。1万人キャパの会場ながら、まさしくライヴハウスの空気と断言できる激情が溢れ出していった。
 会場を手中におさめたかのように引っ張っていった「compact karma」、「遠くの友達にも伝えられるような音楽活動をしたいです。久しぶりにやります」とGENが語ってからの「bless you」は解放感たっぷりで実にいい雰囲気を醸し出す。
 そして、メンバー自身がQueenのフレディ・マーキュリー、芥川龍之介、『魔女の宅急便』のキキや卑弥呼等の仮装に扮した"04 Limited Sazabysへの"ビデオレターを上演し、ライヴは後半戦へ。

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 KOUHEIが力強いドラムソロから「かかってこいやー!」と叫び、また一気にアクセルを踏み、オーディエンスをヒートアップさせた「Night on」、ムードたっぷりにイントロを奏で、そこから巧みなアレンジでバンドの懐の深さを見せつける「mahoroba」、再び火柱が上がり、文字通りオーディエンスも焚き付けた「cubic」、RYU-TAのシャウトも強烈だった「discord」と最新作『eureka』の収録曲を叩きつけ、ライヴはクライマックスへ。
 「最高の晴れ舞台に付き合ってくれてありがとう。みんなが見つけてくれて、好きになってくれて、足を運んでくれて、いつもパワーをもらってます。自己満足的に始めたことが誰かの生きる理由になってる。こんなに嬉しいことはない。そんな気持ちを手紙にしたためてみました」とGENが口にしてからの「Letter」はひとつのクライマックスであっただろう。そのノリもさることながら、ステージを中心にして体温が上がっていくような感覚があったほど、ドラマティックな体験だった。
 そこから甘美なメロディーで揺りかごのようなニュアンスを醸し出す「milk」、HIROKAZの動きに合わせて巻き起こったハンズクラップが鳴り止まなかった「hello」と続き、GENが「ここで歌う為に作りました」とスケール感に満ちたバラード「eureka」へ。美しいハイトーンが響き渡り、そのすべてを受け止めようと聴き入るオーディエンスの姿も胸を打つ。
 「僕たちは別に特別な金とかコネがあったわけじゃないし。名古屋のガラガラのライヴハウスから地続きでここまで来れました」と改めて歩みを振り返り、関わってくれるスタッフへの感謝も述べながら「自分ひとりで(武道館に)立ってる気がしないです」と志半ばで違う道へ進んだバンドマンへの想いを涙ながらに口にするGEN。「最高にいい景色と時間を作ってくれてありがとうございました。名古屋の04 Limited Sazabysでした!」と高らかに叫び、いよいよラストスパート。とんでもないダッシュ力で邁進した「Horizon」、またここで会えるように、再開の歌として多幸感たっぷりの「Terminal」を投下し、本編締め括りは喜びの表情で満たされた「swim」。楽しそうに、だけど名残惜しそうにプレイするメンバーの姿がとても印象的だった。

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 そして、鳴り止まないハンズクラップに呼び戻され、アンコールへ。「どこまで行けるかわからないけど、ここまでは来たんですよ。だから、山頂を目指さないと。天下を獲るしかない。オレたちはまだまだこんなもんじゃない。オレたちの旅はまだまだ続く。ただただ先へ進むんです」とGENが力強く語りかけ、瞬間でトップギアへ持っていく「climb」と「Feel」で感情を爆発させる。
 さらなるオーディエンスの呼びかけからのダブルアンコールでは、GENが「マジ、バンド辞めなくてよかったー!」と叫び、流星群のようなライティングで彩り、RYU-TAとHIROKAZが顔を見合わせながらギターを弾き、思わず互いに笑みがこぼれる瞬間もあった「midnight cruising」をドロップ。熱気が隅々まで充満した中、「今日が最終回じゃないから。開会式だから。オレたちは青春になりたいわけじゃない。できれば一緒に歳を取りたい。できれば一生一緒にいたい」とその胸の内をGENが語り、この日のラストとなった「Give me」へ。オーディエンスのシンガロングも麗しく、これ以上ない歓喜のムードに包まれた最高のフィナーレだった。

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SET LIST

01 monolith
02 fiction
03 escape
04 Chicken race
05 Warp
06 drops
07 Now here, No where
08 labyrinth
09 nem...
10 Grasshopper
11 knife
12 Lost my way
13 imaginary
14 Buster call
15 Remember
16 Any
17 compact karma
18 bless you
19 Night on
20 mahoroba
21 cubic
22 discord
23 Letter
24 milk
25 hello
26 eureka
27 Horizon
28 Terminal
29 swim

en.01 climb
en.02 Feel
en.03 midnight cruising
en.04 Give me

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