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2017.01.19

AIR JAM supporters

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「“AIR JAM世代”、更新しちゃっていいっすか?」(難波章浩/Hi-STANDARD,Vo/Ba)
2016年12月23日、福岡ヤフオク!ドームで開催された『AIR JAM 2016』は、この言葉に集約されているように思う。

 既存のシーンにまったく新しい概念を投げ込んだHi-STANDARD。その彼らが主催し、日本のパンクもといカルチャー史上、大事件となったAIRJAM。どちらを語る上でも、いつからか「あの伝説的な―」という遺産を思わせるような冠がつくようになった。
だが、西日本初開催となった今回の『AIRJAM 2016』では、その伝説が現在進行形であることがあらゆる場面で感じられた。そして、まるで奇跡みたいな1日だった。

 そんな1日が途方もない数の人々による協力や支えによって作られたということは、Hi-STANDARDのMCでも語られたとおりだ。入場案内や場内外でのサポートを務めたボランティアのスタッフ、会場内外を盛り上げるブース、キッズエリアやNPOブースのスタッフ、AIRJAMに欠かせないスケーターとBMXライダー等、さまざまな人が各々の関わり方で『AIRJAM 2016』を作り支えていた。そのうえで成り立った伝説にして最新鋭パンクフェスの会場とその場にいた人々の様子をセクションごとに紹介しよう。

TEXT:野中ミサキ(NaNo.works.)
PHOTO:SO KURAMOCHI, YUJI HONDA, TERUMI FUKANO

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 ドームの外に設置されたスポンサーブース周辺には、午前の早い段階から人だかりが。X-RARGE、Dickies、MISHKA、DeviluseなどKIDSにおなじみのアパレルブースには、各ブランド×『AIRJAM 2016』のコラボアイテムや会場販売のみ限定品が並ぶ。出演バンドの音源やオリジナルアイテムを扱うTOWER RECORDSのブースやHinekenのドリンクコーナーなど、フェスではおなじみのブースもにぎやかだ。

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 また、お楽しみはアイテムの購入だけではない。たとえば、VANSブースではイラストレーターのTMpaint氏によるPortrait Work Shopを開催、SPACE SHOWER TVブースでは『AIRJAM 2012』の映像を放送しつつオリジナルのビニールバッグとFAT WRECK CHORDSのステッカーを配布するなど、ブースごとに来場者ならば誰もが楽しめるよう趣向が凝らされていた。また、L'arche dés pierreによるウェディングフォトシューティング(来場者のあいだを颯爽とすり抜けるドレス姿の女性を目撃!)やDARTSLIVEによるダーツマシンコーナーなどのアクティビティも。寒さも忘れて思い思いに出展ブースを楽しむ来場者の姿が印象的だった。

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 “伝説復活”の年となった2011年以降、『AIRJAM』と被災地支援等を行なっているNPO団体は、密接な関係でアクションを続けてきた。そんななか昨年4月に発生した熊本地震を受け、Hi-STANDARDは“くまモン”とコラボしたチャリティTシャツを発売。『AIRJAM 2016』には、熊本発の「チーム熊本」「阿蘇復興への道」や東日本大震災発生時から活動を行なっている「東北ライブハウス大作戦」「CHANNEL SQUARE」など計11団体が参加。活動写真の展示や物販、ボランティア情報の発信など団体ごとに内容はさまざまだが、午後過ぎには軒並みアイテムが完売し、ステージの合間にブースを訪れる来場者や快く署名に応じるKIDSの姿もよく目に入った。以下は、参加団体の方の声。

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「今回は「チーム熊本」「ボランティアインフォ」の方々とブースの仕切りをとって同じテントの下で活動報告をさせていただきました。他出展者の方々との再会や情報交換もできました。出展させて頂くことで多くの方とお話できたことが本当に嬉しかったです。出演アーティスト一人一人の想いが熱く、お客さんがとても優しく心ある方ばかりで驚きました。あの場にいられることができ感謝です(「LOVE FOR NIPPON」新倉さん)」。

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「地震でつらい想いをした九州の方たちに石巻の浜の女性が手作りする漁網を使ったミサンガ「櫂」を通じて笑顔になって欲しい…そんな想いで出展させていただきました。石巻へい輪プロジェクトは、たくさんのバンドに協力していただいています。そんな想いが音楽を通じてたくさんの人の心を動かし、大好きな音楽とミサンガを繋ぎ、今回もたくさんの笑顔に出会うことができました(「石巻へい輪プロジェクト」山下さん)」。

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「ハイスタ世代の方々はやはりメンバーご本人たちの行動に触発された方々が多く、こういった活動に関心がある方がとても多いと改めて感じました。また、支援する側だけでなく月日が経ち当時被災者だった方々もブースなどに来て『俺んち被災したんだよ』と話してくださる方も年を重ねるごとに増えてきた印象があります(「Team-K」石原さん)」

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「人って社会の中でしか生きられない。その社会で起こっていることに対して興味を持ったり人から何かされるよりも自分から一歩踏み出してアクションを起こしたほうが人生を豊かに楽しく感じられるはず。それが被災地支援でもそうじゃなくてもいいけど、自分の生き方を問うきっかけになればと思います(「幡ヶ谷再生大学 復興再生部」ユカリさん)」。

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 今回導入されたファミリーチケットおよびNPO法人「Ubdobe」によるキッズエリアは、『AIRJAM 2016』最大の施策と言ってもいいだろう。小さな子どもを連れての外出は、心配ごとも尽きず、想像以上にままならないことが多い。それがフェスなら、なおさらだ。 「とにかく親子が楽しめるように」と主催からの要望を受け設置されたこのエリアには、宇宙をテーマに暗闇のなか音と光を楽しむ“DIGITAL SPACE TOWN”をはじめ、フェイススタンプやフォトスポットなどフェス気分を盛り上げる遊び場やひとやすみできるラウンジ、本格的なマッサージなど、親への手厚いサポートと子どもが喜ぶアノ手コノ手が満載。事前予約で子どもを預けられる託児室まで設置されていた。実際、その場にいる子どもたちの姿とそれを見る親の表情が、この施策の成功を大声で語っていたように思う。

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「来場者がのんびり赤ちゃんにごはんをあげている姿を見て、このフェスにキッズエリアがあることは本当にすごいことなのかもしれないなあと。とにかく楽しむことが、この子たちの未来に直結しているような実感があって、ものすごく意義のある時間に感じられました(NPO法人「Ubdobe」神子さん)」。会場の内外でも来場者同士でサポートし合う様子や、その場で知り合った子どもとKIDSが一緒にはしゃぎあう姿をよく見かけた。
小さな子どもも親も安心して楽しめるパンクフェスなんて、これまであっただろうか?

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 今回特に注目を集めていたのが、長年に渡りHi-STANDARDを撮影してきたカメラマン岸田哲平氏がセレクトした自身の作品を展示したブース。Hi-STANDARDがレッドブル・スタジオ東京にて「ANOTHER STARTING LINE」『Vintage & Now, Gift Shits』のレコーディングを行なった際のドキュメンタリー写真をはじめ、誰もが目にしたことのあるアイコン的1枚から貴重な一瞬を捉えた写真たちが入場無料かつ大判サイズで観覧できるとあり、ブース内は常に来場者が入れ代わり立ち代わり。展示された写真が単なる過去ではなくHi-STANDARDの歴史の一辺が切り取ったものであり、バンドが常にシーンを走り続けていることを改めて感じさせるものだった。なお、2月に開催されるRed Bull Studio Tokyoのエキシビションでは、インドネシア在住ハイスタファンによる『AIRJAM 2016』来日体験ショートドキュメンタリームービーが公開予定とのこと。

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 上記で紹介した以外の場所でも人々のにぎわいはいたるところで見られた。たとえば、九州のうまいものがずらりと並んだ飲食エリア「福岡屋台村」。博多名物のひとくち餃子やモツ丼、ごぼう天うどんや大分県名物の唐揚げなど、どれもこだわりのある一品ばかり。どの屋台にも息も白々長蛇の列ができるなか、特に福岡名物のラーメンは早い段階で完売していた(ちなみにヤフオク!ドーム内にも飲食店が多数。こちらも盛況していた)。

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また、特筆すべきは場内に放置されたゴミの少なさとトイレのマナーかもしれない。大抵フェスだの祭りだの人が大勢集まる場所の女子トイレは男性には想像できないほど荒れているが、汚くなかった(すべての箇所を見た訳ではないが)。ヤフオク!ドーム側の管理が行き届いていることはもちろんだが、これだけで来場者の共有意識が高いことがうかがえるし、快適に過ごせている証拠だった。

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 食べて飲んで騒ぐ。そこに音楽があって、子どもから大人までさまざまな年齢層の人々が同じ空間で心地よく楽しむ。すごくシンプルなことだが、これは従来のパンクフェス…言えば『AIR JAM ‘97』では考えられなかったようなことなのかもしれない。でも、ものごとは進み続ける限り更新され、よりレベルの高い新しいスタンダードが作られていく。それを3万6千人規模で体感した2016年12月23日は、やっぱり奇跡みたいな1日だった。

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