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2026.07.23

Hi-STANDARD “The Night Before Ski Resort” LIVE REPORT/2026.07.16@新潟LOTS

  • REPORT

Hi-STANDARD “The Night Before Ski Resort”
2026.07.16@新潟LOTS


TEXT:ヤコウリュウジ
PHOTO:西槇太一


やっぱりと言うべきか、想像や期待を超えてくるのがハイスタというバンドなのだろう。7月8日20時に突如として発表されたのがこのHi-STANDARD pre. "The Night Before Ski Resort"。

日時は7月16日、場所は難波章浩の地元でもある新潟LOTS。翌週にはFUJI ROCK FESTIVALへの出演も控えているが、4月19日にKアリーナ横浜で行った"Screaming Newborn Baby Tour"の最終公演以来のライヴであり、1本でもハイスタのライヴが増えるのは嬉しいこと。幸運にもチケットを手に入れたファンが集結し、愛と熱を育む極上の夜になった。


定刻を少し過ぎ、難波章浩、横山健(G)、ZAX(Dr)が登場すれば、いきなりとんでもない歓声が湧き上がり、その熱気を加速させるようにZAXがバスドラを踏めば、もはやクライマックスかと思ってしまうほどの熱気が渦巻く。


待ってました感が会場に充満しているところへ難波が「よっしゃ、来たよ!」「新潟、来たよ!」と声を上げ、訃報が届いたSNUFFのデイブ・レッドモンズへ捧げる夜にしたいと告げてから「行こうぜ、これからも」と1曲目として放ったのが「Endless Trip」だ。無駄な力など入っていない、とても自然体な3人が織りなすサウンドが一気に溢れ出す。11月にはAIR JAMの開催もあるが、"Screaming Newborn Baby Tour"を終え、バンドの動きとしてはひと段落したと言っていいのかもしれない。
だが、そこで腰を下ろすことも立ち止まることもなく、あくまで前を見据えるという意志が伝わってくるような幕開けであり、そうくるならば、と観客も大歓声と歓喜のダイブで応えていく。


そこから横山がギターでつないで「The Gift」へ。深く響くイントロから大爆発する曲だ。しなやかで伸びのある難波の歌、メロディーをさらに豊かなモノとする横山もコーラスもいい。当然、ZAXの叩き出すリズムもキレッキレだ。
"Screaming Newborn Baby Tour"を経て、より強靭になっただけでなく進化も遂げた3人のアンサンブルを見せつけてくれる。


フロアからとめどなく生まれる熱をゆったりと3人が受け止め、「生きてることに感謝して今日を始めよう」、そう難波がつぶやいての「Start Today」もパンチ力が凄い。一瞬でフロアも覚醒し、バンドと観客が生み出すケミストリーも素晴らしい。

その流れで飛び込んできた「Stay Gold」の重みはもう説明不要なはず。のっけから大合唱が起こり、人生のバイブルとして刻み込まれていることがありありと伝わってくることに加え、年月を重ねたことによって増す輝きも同時に伝わってくる。きっとそれはみんながちゃんと進んできたからに違いなく、その証と言い切れる空間が広がっていた。


「来週、フジロックやるけど、やっぱその前にLOTSっしょ、って健くんが言ってくれて」と難波が、「新潟はナンちゃんの地元なんだからさ、いい思いすればいいじゃん」と横山が口にし、このライヴが企画された経緯に触れてから、「今日はフジロックのPre Show的な感じだから、あんま本気でやんないんだよ」とうそぶく横山に「あと5曲ぐらい?」の乗っかる難波。
実にハイスタらしい軽妙なやり取りにみんなで盛大なブーイングを飛ばせば、「あと2時間はやるよ!」と横山が力強く語り、そこからピンクの照明に染め上げられる会場。恍惚さに酔いしれる「Pink Panther Theme」の始まりだ。どうだい、と言わんばかりの表情で難波と横山はフロアを覗き込みながらフレーズを奏でていく。

横山が指でハートマークを作り、旨を締めつけるようなメロディーが降り注ぐ「This Is Love」から続けられた「Another Starting Line」は蒸し風呂のようになっていたフロアの温度をグッと上げ、このライヴをさらに勢いづける存在になっていたと触れておきたい1曲。
そもそも曲が持つポテンシャルは凄まじかったのだが、ライヴを重ねる毎に浸透していき、今や大シンガロングナンバーとなっているのだ。エモーショナルなメロディーを観客も歌い上げ、そこで生まれるのは尋常ではない高揚感。照明がかすむぐらいの輝かしさが広がっていく。そんなムードの中、切り裂くギターリフに観客も大きなコールを合わせ、一気に駆け出す「Song About Fat Mike」もまた秀逸だった。


ここでひと呼吸置くように、フロアから届けられる声援に「新潟、ありがとう!」とZAXも絶叫で応え、「Ken YokoyamaでLOTSは結構やるんだけど、やっぱ立ち位置が違うし、ステージにいるメンツが違うと全然違ったモノに感じるんだよ。10年ぶりをすげえ楽しんでるわ」と横山が一服しながら感慨を口にする。そんな姿に対して「最高の人生だね!」と笑いながら突っ込む難波。そんな3人の何気ない言葉、やり取りも何だか嬉しい。

ZAXのどデカいカウントから快活さとヘヴィネスが融合した「A Ha Ha」、劇的なイントロから重厚に畳み掛ける「My Sweet Dog」と続け、「懐かしい曲をやっちゃおうかな」と難波がつぶやいて放ったのが「Sunny Day」。リリースから考えれば32年も経つ曲だが、パワフルなZAXのドラミングも後押しし、今でも衝動感マシマシで鳴らせるハイスタの凄さが際立っている。ここで聴けるとは、と歓喜する観客の暴れっぷりも痛快。


「健さんのギター、食らっちゃうか?」と難波が投げかけ、ステージを練り歩きながら横山が巧みで味わい深いフレーズで存分に観客を焚きつけてから「Pacific Sun」でフロアをかき回し、人間としての矜持を届けるように「Asian Pride」をドロップ。どんなスピードで駆け出したとしても共に寄り添ってくれる人生の行進曲であり、誇りを持って挑戦し続けるハイスタの想いに撃ち抜かれる。曲が終わったタイミングでフロアから「ありがとう!」と声が上がり、瞬時に「こちらこそ、ありがとう!」と答えた横山の姿はこの夜を象徴するようなシーンでもあった。

「パンクロックは激しいところにフォーカスされがちだけど、それって本質じゃないんだよ。音楽的にはそうかもしれないけど、一瞬で仲間になれるからさ。オレらもよく思ったよ。隣のおじさんよりスウェーデンのパンクスの方が身近に感じるんだよ」と横山がパンクロックの本意を語り、「スロバキアでモヒカンのパンクスがハイスタの曲に涙を流してくれたんだよ」と難波がこれまでの経験を伝えた後、まっすぐな愛を抜群の瞬発力で鳴らしたのが「Nothing」だ。

どんなスピードでもタイミングでも乗りこなして一体となる3人、音と気持ちを受け止めてしっかり呼応するフロアも最高。横山がメインで歌った「The Sound Of Secret Minds」では難波が思わず「みんな、声ヤバいわ!」と口にするぐらいの会場を揺るがす大合唱が生まれ、ロマンティックな夕焼けに強い決意を刻む「Brand New Sunset」ではエネルギッシュで温かい空気が充満していった。


ライヴも終盤に差し掛かってきたところで「楽しいな、ハイスタのライヴ。また新潟でやろうな、こういうの」と横山が胸の内を語り、「ハイスタ、太陽とか星とか月とか、そういうの(曲のテーマとして)多いね」と難波が口にしたところ、フロアから「In the Brightly Moonlight」が聴きたい、との声が上がる。いきなりすぎる話だが、会場の熱気がそうさせたのか、そのリクエストを受け止めて急遽「In the Brightly Moonlight」をプレイしたのも印象的なシーンのひとつ。ライヴハウスの距離感だからこそとも言えるが、そんなフレキシブルな対応がこの3人でサラッとできるのも感慨深い。横山のソロも冴え渡り、観客も喜びを爆発させながら踊りまくっていった。


上がったボルテージをもっと上昇させるべく、「このまま突き進むように行くぜ!」と難波が叫んでビターなメロディーと適度なハリとビート感がたまらない「Moon」を鳴らしてから、横山が天に向かって指差して始めたのが「Dear My Friend」。物理的や心理的、いろんな距離はあろうが、どれだけ離れていてもその人を思えば、忘れなければずっと繋がっている。それぞれが大切な人を思い、どこまでも届くように歌い、体の内側から熱くなる瞬間にもなった。
本当に愛しかない空間が広がり、「Can't Help Falling In Love」の前に「愛だね、愛。ハイスタ、愛だよね」と難波が力強く口にしたが、それは曲へ繋げる為というより、心から湧き上がった言葉だったように聞こえてきた。誰にも踏みにじることができないほど、大きくて温かい愛をずっと育んできたからこそ、時代や世代を超えて支持されているに違いない。

本編ラストは「Fighting Fists, Angry Soul」をドロップ。強く握りしめる拳は意志の強さの確認であり、自分らしさを失わない為であろう。観客もそれぞれが気持ちを燃え上がらせ、地面を揺るがすようなシンガロングを響かせていった。


3人はステージを後にしたが、まだまだ冷めやらぬ観客が自然発生的に「VAMOS NIPPON」を歌い出す。すっかりハイスタのライヴではお馴染みになった光景だ。
その歌声に呼び戻されたところ、観客からPIZZA OF DEATHのロゴが加えられた日の丸のフラッグを難波が受け取り、ガウンのように身にまとう。東日本大震災の際、観客から手渡された日の丸を羽織って歌い上げたシンディ・ローパーとも重なる姿。NIPPONコールで沸き立つフロアを鼓舞しつつ、アンコール1曲目はそこからフレーズを繋げるよう、シームレスに「Teenagers Are All Asshole」をプレイ。グワッと会場を引っ張っていくが、その後の話によると予定外の選曲だったようで、これもライヴハウスだからこそのマジックだ。

イントロのベースラインでどよめきも起こった「My Heart Feels So Free」、「Our Song」と続け、ラストナンバーは難波が「限界はどこだ!」と突きつけて「Maximum Overdrive」。約2時間の長丁場、とっくにスタミナは切れているのかもしれない。だが、疲れなど忘れて没頭できる喜びがここにはあるのだ。こんな夜があるのだから、ライヴハウスへはやめられない。そんなことを改めて噛み締められる最高の時間だった。





●SET LIST●
01. Endless Trip
02. The Gift
03. Start Today
04. Stay Gold
05. Pink Panther Theme
06. This Is Love
07. Another Starting Line
08. Song About Fat Mike
09. A Ha Ha
10. My Sweet Dog
11. Sunny Day
12. Pacific Sun
13. Asian Pride
14. Nothing
15. The Sound Of Secret Minds
16. Brand New Sunset
17. In the Brightly Moonlight
18. Moon
19. Dear My Friend
20. Can't Help Falling In Love
21. Fighting Fists, Angry Soul

—ENC—
22. Teenagers Are All Asshole
23. My Heart Feels So Free
24. Our Song
25. Maximum Overdrive


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