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2025.10.10

SCAFULL KING「“WE PLAY NOW”RELEASE ONE MAN LIVE」LIVE REPORT

  • REPORT

SCAFULL KING
“WE PLAY NOW”RELEASE ONE MAN LIVE
2025.09.23@Spotify O-EAST


TEXT:吉羽さおり


 じつに14年ぶりのCD『WE PLAY NOW』をリリースしたSCAFULL KINGが、9月23日(火)渋谷・Spotify O-EASTでリリース記念ワンマン“WE PLAY NOW”RELEASE ONE MAN LIVEを開催した。満員の会場をオープン/クローズまで、BLUE BOYS CLUB(カジヒデキ、kink)がハッピーなDJで盛り上げ、またゆかりのあるゲストが続々と登場したりと、賑やかなSCAFULL KINGのステージをさらに祝祭感で包んだライブとなった。

巨大な王冠のバックドロップを背に、高く掲げられたコブシと大きな歓声とに迎えられた6人。観客がそのコブシを下げる間もなく、威勢のいい“ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー!”の声でスタートしたのは「Save Your Love」。スピード感が気持ちのいいTADAAKI”TDC”FUKUDA(Dr)とIKKE(Ba)によるリズム、観客のジャンプやステップに燃料を注いでいくKENZI MASUBUCHI(Gt)が刻むギター、さらにAKIRATT KURIMOTO(Tb)とCROSS YOU(Sax)のホーンが破裂するような勢いでステージ前へと躍り出ていく。



パワフルなSYUTA-LOW”TGMX”TAGAMI(Vo/Tp)の歌が会場内の温度をグイグイと上げるステージは、早くもクライマックスかという盛り上がりで、観客のシンガロングやかけ声もフルボリュームだ。
そのまま畳み掛けるように“ワン、ツー!”のコールのたびに興奮が跳ね上がっていく「Beetle Knows Himself」、大合唱チューン「Brighten up」へと突入すると、ステージもフロアも前のめり。曲終わりのTGMXのサンキュー!の声に、会場の歓声と拍手、さらに興奮たっぷりの観客の声が響きわたった。


TGMXは「Brighten up」冒頭で歌詞を飛ばし、「いきなり歌詞わかんないやつはダメだよね。あーあ、残念だったなもう一回やりてえな」と笑うと、フロアからは愛あるヤジがガンガン飛び交う。「うるせー笑」と言いながらも「Brighten up」の頭をもう一回やって盛り上げたりと、フレンドリーなライブの空気感はバッチリ。

今夏は、04 Limited Sazabys主催のYON FESやRUSH BALLといったフェスにも出演したSCAFULL KING。ここO-EASTもキャパは広いが、根っこにあるパンク、ハードコアのライブにある汗が飛んでくるような距離感や痺れる音がダイレクトに体にくる白熱感、バンドも観客も鼓動を一体化して作り上げていくテンションやムードを作り上げていく彼らのライブは変わらない。冒頭から、会場には気持ちのいい熱が立ち込めている。


 さらに「Whistle」で最高の叫びをあげて、ダイナミックなスカチューン「Needless Matters」からAKIRATT KURIMOTOが歌う「Costello」へと観客のステップを止めることなく曲を連投。
エネルギーが上昇一方のフロアに「楽しんでますか? 僕は楽しんでるんですけど少しつらいです」(AKIRATT)、「ミートグッバイ(肉離れ)じゃないですよね? この中にお医者さんいらっしゃいますか」(TGMX)などというMCで観客を沸かせながら、さらにご機嫌にアンサンブルを加速させながら曲を連投する。うち1曲は「YOU WANNA DO」。1997年にリリースした曲だ。



 中盤には、最新のCD『WE PLAY NOW』から「Starlight」(サブスクでも配信)を披露。ギターとベースによるゆったりとしたイントロから、エモーショナルなホーンが歌心たっぷりに響くパンクナンバーだ。グッドメロディと、口ずさめるキャッチーさを持った歌に、観客の声が上がる。
14年ぶりの新作として、大人の深みを感じさせながらもブライトで、エネルギーが迸ったサウンドで駆け抜ける曲を聴けるファンの喜びが、賑やかなフロアに表れている。

さらにこの中盤はゲストも登場。まずはファンキーな「Greatest Sounds」のグルーヴに乗って登場したのは、SCAFULL KINGを語る上では欠かせないLOW IQ 01。ゆっくりとステージ袖から表れたLOW IQ 01は、ファットなバンドアンサンブルにうねりを起こし、さらに華やかに色づけていく。盛大な歓声が巻き起こるなか、間髪入れずにLOW IQ 01の「Never shout up(SKA ver)」へとなだれ込んで美声を響かせるとフロアは祭りの晴れやかさだ。


「来ちゃったよ」というLOW IQ 01に向かってTGMXは、14年ぶりのCD『WE PLAY NOW』でLOW IQ 01に参加してもらった訳を語った。「14年ぶりに曲を作るにあたっていろいろ考えたんですよ、今どういう曲を作ればいいのかなって思って。何をやるべきかわからなくて。そしたらTADAAKI君が“俺たちが若いときに聴いてた音楽をもう一度やればいいんじゃないの”って。そういうことか、簡単なことなんだなと思って。それで俺たちのルーツはなんだろうと思ったら、LOW IQ 01さんなんですね」。

その熱いTGMXの言葉に、LOW IQ 01は「TOSHI-LOWもそういうこと言えよなぁ」と漏らすと、舞台袖からTOSHI-LOWがぬるっと登場したりと、会場にはSCAFULL KINGを祝すべく90年代から音楽シーンで並走してきた盟友たちも多く訪れていたようだ。

そんなひとくだりに続いたのは、『WE PLAY NOW』に収録され、また6月11日にいち早く配信された「Don’t forget the origine feat.LOW IQ 01」。シンガロングパートもふんだんなキャッチーさもある、アグレッシヴなパンクに会場内の熱気が一段と上がっていく。ステージ上で底抜けに明るく動き回るパワーとボルテージの高いアンサンブルが最高だ。


さらに客演は続き、「Doo Wee」では結成30周年を迎えたBACK DROP BOMBからTakayoshi Shirakawaが登場、TGMXと共にボーカルを響かせてフロアを大きくジャンプさせながら、バンドのグルーヴをあげていく。


また「FAR PLACE(SKA Ver)」、この夜に配信解禁となった新曲「ABOUT IT」ではスカバンド、RUDE BONESからトロンボーンのHIROSHI BROWNが登場した。ここではトロンボーンだけでなく低音の美声で歌も披露したHIROSHI BROWN、新曲の2トーンスカ「ABOUT IT」では歌ってもらうならこの人しかいないと、ボーカルとして作品に参加となった。
TGMXとの高低のボーカルのハーモニーに、観客からは大きなコールが上がる。軽やかなステップが止まらない曲は、これからのライブにも欠かせない1曲になりそうだ。



 そして、FISHBONEのカバー曲「Lyin’Ass Bitch」大合唱で幕を開けたライブ終盤。この時点で20曲ほど演奏をしているが、この「Lyin’Ass Bitch」でもLOW IQ 01が飛び込んできたりと、ますますバンドがアクセルを踏み込んでいくプレイでフロアはもみくちゃな状態になっている。
そこから「The Simple Anger」へと突入してエネルギッシュなトランペットはじめホーンの勢いと熱いビートで、フロアに熱狂を生んでいく。冒頭からフルスロットルだったが、終盤にきてもどんどんフロアをカオスに巻き込んでいく激アツな曲を据える、その姿勢に“WE PLAY NOW”という言葉の重みも知るライブ。


そのラストを締め括ったのは、この日のライブを象徴するような「YOU AND I,WALK AND SMILE」。シンガロングとも叫びともつかない観客の声が、曲のタフさや温かさを何倍にもブーストする最高のエンディングだ。アンコールにも応え、トータル25曲。『WE PLAY NOW』での新曲たちを含め、余すことなく陽性でパワフルなSCAFULL KINGで魅せるワンマンライブとなった。





●SET LIST●
01. SAVE YOU LOVE
02. Beatle knows himself
03. Brighten up
04. WHISTLE
05. NEEDLESS MATTERS
06. COSTELLO
07. 6 cycles
08. YOU WANNA DO 
09. Starlight
10. THE SOUND WAVE
11. A TRAIN
12. Greatest sounds (LOW IQ 01)
13. Never shout up [SKA ver] (LOW IQ 01)
14. Don’t forget the origin. (LOW IQ 01)
15. Rust of youth
16. DOO WEE (SHIRAKAWA TAKAYOSHI)
17. WE ARE THE WORLDS
18. FAR PLACE [SKA ver] (H.BROWN)
19. ABOUT IT (H.BROWN)
20. Lyin Ass Bitch
21. THE SIMPLE ANGER
22. YOU & I ,WALK & SMILE

― ENC ―
E1. NO TIME
E2. LUNCHI IN THE JAIL.
E3. IRISH FARM


▼SCAFULL KING
https://www.scafullking.com/

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