──スメタナが全人生を懸けて書いた《我が祖国》は、神さまからの光のような存在です
マエストロ小林研一郎が創立70周年を迎える日本フィルとスメタナの「我が祖国」を演奏する。コバケンさんは2002年5月12日、「プラハの春音楽祭」のオープニングコンサートで、東洋人として初めてチェコ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して「我が祖国」を全曲演奏するという快挙を成し遂げた。チェコ人以外の指揮者がチェコ・フィルと「我が祖国」を演奏・録音するのは稀なことで、伝統あるオーケストラと思いをともにし、新たな視点を加えてチェコの人々に新鮮な「我が祖国」を提示し、演奏は大成功を博した。
「僕にとってスメタナはロマン派の偉大な作曲家で、その思いで指揮したいと考えていました。でも、チェコ・フィルにとってこの作品はバイブルのような存在。2曲目の《ヴルタヴァ(モルダウ)》には戦争による赤い血が流れているといい、単にきれいな音では演奏できないという。その解釈の違いにより、僕はリハの途中でホテルに帰っちゃった。すると夜中にチェコ・フィルの10人がやってきて謝罪したいという。それで翌日からいい音楽を作ろうと精一杯努力し、本番に臨んだのです」
第1曲「ヴィシェフラド」は「高い城」を意味し、スメタナの墓地がある場所である。
「冒頭の2台のハープが高い城から射してくる光を表し、とても印象的に始まります。ここが源流となるヴルタヴァ川を表す第2曲が続きます。最初にヴルタヴァ川のほとりにあるルドルフィヌム(芸術家の家)のドヴォルザーク・ホールでチェコ・フィルの響きを聴いたときは、“虹のような音“だと思って感極まりました。《シャールカ》は男女の闘いのはげしさを、《ボヘミアの森と草原から》はうっそうとした森と広大な草原を、《ターボル》《ブラニーク》はフス教徒の戦いと農民の踊りや祈りの情景、歓びの歌などが混在しているため各楽器の特質を生かしながら演奏します。クライマックスには大太鼓をプラスし、フィナーレのコーダを多少変えています。スメタナが全人生を懸けて書いた作品は神さまからの光のような存在ですから、フィナーレは印象に残る分厚い響きにしたい。今回の日本フィルともそのように演奏したいと思っています」
文:伊熊よし子
〈演奏映像〉小林研一郎×日本フィル
スメタナ:連作交響詩《我が祖国》より
「高い城」https://tvuch.com/social/806/
「モルダウ」https://tvuch.com/social/437/

日本フィルハーモニー交響楽団
第785回東京定期演奏会
2026年11月13日(金) 19:00開演(18:20開場)
サントリーホール 大ホール
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2627526
■出演
指揮:小林研一郎[桂冠名誉指揮者]
■曲目
スメタナ:連作交響詩《我が祖国》
※第3曲と第4曲の間に20分の休憩が入ります
プレトーク「本日の聴きどころ」18:30~

