東亮汰インタビュー。ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団が25年ぶりの来日

2026.08.13

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東亮汰インタビュー 写真1

ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団が10月に25年ぶりの来日を果たす。シベリウスの交響曲第1番から第6番を、作曲家自身の指揮で初演した歴史をもつフィンランドの名門。同国出身の名匠ユッカ=ペッカ・サラステが指揮する「オール・シベリウス・プログラム」は、シベリウス・ファンならずとも聴いておきたいコンサートだ。

ヴァイオリン協奏曲のソリストには、第88回日本音楽コンクール第1位ほか数々の国際コンクールで受賞を重ね、ソロ、室内楽、オーケストラと幅広いフィールドで活躍中の東亮汰を迎える。注目の大舞台を前に、東に作品への思いや共演への意気込みを聞いた。

「じつは、出演のオファーをいただいたのは今年に入ってからでした。すでに年内のスケジュールがかなり決まっているところに、緊張度の高いオファーが突然舞い込んできたので、とにかく驚きと焦燥感と……さまざまな感情が渦巻きました。でも、こんな素晴らしいチャンスを手放したら、二度と巡ってこないかもしれない。そう思うと、お引き受けする以外の選択肢はありませんでした。

東にとって、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏するのは今回がはじめて。ただ、コロナ禍で中止になった日本音楽コンクールの受賞者発表演奏会に向けて、準備を進めていたことはあったという。どんな演奏にしたいかを問うと、こんな答えが返ってきた。

東亮汰インタビュー 写真

「チャイコフスキー、ブラームス、ベートーヴェンに並ぶ屈指のヴァイオリン協奏曲ですが、シベリウスほど自然の風景が鮮明に浮かび上がってくる協奏曲は他になかなかないと思います。オーケストラが描き出す北欧の厳しい自然のなかで、ソリストも風景のひとつのピースとなり、その一部として息づいていく。そんなふうにイメージしています」

ソリストも自然の一部という言葉に、北の空を舞う鷲を思わせる第1楽章冒頭の独奏ヴァイオリンが浮かぶ。

「シベリウスはもともとヴァイオリニストを目指していたそうです。この作品は唯一のヴァイオリン協奏曲ですから、シベリウスのヴァイオリンに対する強い思いが込められているのではないでしょうか。実際、ものすごい完成度で、技巧もめいっぱい詰め込まれています。また、シンフォニーのようなオーケストラの音の厚みにも圧倒されます。聴いているだけで気分が高揚しますね」

今回は、9月にヘルシンキに渡り、現地でリハーサルをする機会が設けられているとのこと。

「北欧に行くのははじめてなので、とても楽しみです。ヘルシンキ・フィルは、シベリウス自身の指揮でヴァイオリン協奏曲の初稿を初演し、作曲家から直接受け取ったものを受け継いできたオーケストラ。自身もヴァイオリニスト出身で、この作品を深く理解するマエストロ・サラステと取り組めることは、この上ない幸せです。

シベリウスの家や、ゆかりの場所にも足を運んで、そこで得たものを演奏にも反映したいですね。日頃から、作品が生まれた背景にある風土や文化、作曲家が話していた言葉などへの理解を深めることを大切にしています。やはり自分が生きてきた環境からの視点だけで作品を捉えると、作曲家の意図とは異なるものになってしまうと思うので。作曲家が思い描いていたものを汲み取りつつ、自分なりに可能性を広げていくことができたらと。楽譜を見ていているだけでは、得られないものがあると思います」

オーケストラでの活動も多い東だが、ソリストとしてオーケストラと共演するときと、オーケストラの一員として演奏するときとで、どのような意識の違いがあるのだろうか?

東亮汰 写真
©︎Ayako Yamamoto

「オーケストラのヴァイオリン・パートのひとりとして弾くときは、複数人でひとつのパートを成立させるので、“みんなで音を完成させる”という意識が強いです。コンサートマスターの場合は、同じパートのメンバーにどういう音作りをしたいのかを伝える役割があるので、自分がそのパートの核になるような意識をもって、ボディランゲージも使いながら演奏します。

ソリストとして協奏曲を弾くときは、ソロ・パートを担うのは自分ひとりなので、やはり意識は全然違いますね。ただ、どのポジションで弾くにしても、人と演奏するときは音楽を通じた心のコミュニケーションが不可欠なので、そこはつねに根底に置いて演奏しています。僕自身はオーケストラの中でも演奏している身だからこそ、ソリストとしてステージに立ったときも、マエストロとオーケストラ、双方とコミュニケーションを重ねながら、自分がどうあるべきかを考え、もっともいいポイントを探っていきたいです」

ヘルシンキでの体験を経て、さらに深化を遂げるであろう東のシベリウスを聴くのが楽しみだ。

取材・文:原典子(音楽ジャーナリスト)
TOP:©︎Ayako Yamamoto



DS presents ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 ユッカ=ペッカ・サラステ/ヴァイオリン 東亮汰

チラシ

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2666487

10月14日(水) 19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル

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