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川崎の夏はサマーミューザ。オケにジャズに夏休みの自由研究もOK

2026.04.03

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サマーミューザ2026_市長ら(c)山口敦/提供:ミューザ川崎シンフォニーホール

真夏の川崎を音楽の熱風が吹き抜ける。「フェスタサマーミューザKAWASAKI」は、クラシック音楽の“夏フェス”。本格的なオーケストラ公演から子供向け企画、さらにジャズまでがそろう。

今年のテーマは「百花“響”乱!」。ミューザ川崎シンフォニーホールを中心に、7月25日(土)から8月11日(火・祝)までの18日間・18公演。筋金入りのクラシック・ファンはもちろん、家族連れも気軽に楽しめる、音楽の魅力がぎゅっと詰め込まれたラインアップが出そろい、3月下旬、記者発表会が行われた。

サマーミューザは、オーケストラが日替わりで登場する「オーケストラの祭典」だ。今年も首都圏の楽団を中心に、全10団体のプロ・オーケストラが顔をそろえる。同じホール、同じ条件で聴き比べられるのは大きな魅力だ。もちろん演奏する側にしてみれば、他楽団の存在は大きな刺激になるはずで、各オーケストラとも、個性を十分に打ち出した充実のプログラムを携えてやってくる。なかでも、音楽監督や常任指揮者といった“シェフ級”の指揮者がそろう点は今年の見どころ。熱い競演が期待される。

一方で、夏休みらしい親しみやすい企画が用意されているのもサマーミューザ。ステージ上で演奏者を囲んで音を間近に感じられるピアノ企画や、楽器の仕組みや音楽の秘密を解き明かすコンサートなど、子供たちの好奇心をくすぐる内容が並ぶ。配布される「自由研究応援キット」を使って、聴いた音楽を題材に、「国語」「算数」「理科」「社会」、さらには「体育」や「図工」といったさまざまな教科の視点で考えるヒントもゲットできる。入場料が4歳から中学生まで500円というのもありがたい。夏休みの一日、家族全員で過ごせるうれしい機会。

さらに、ジャズ公演もラインアップされ、音楽の楽しみ方は実に幅広い。気軽にふらっと訪れてもいいし、じっくり聴き込むのもいい。サマーミューザは、それぞれのスタイルの楽しみ方を受け止めてくれる。

多くの公演ではプレトークやプレコンサートも用意されており、作品の背景を知ってから聴くことで、楽しみはさらに広がるはず。クラシックは初めてという人も、安心して音楽の世界に足を踏み入れられる。

浴衣で来場するとちょっとしたプレゼントがもらえるのも、夏らしいお楽しみ。和スタイルで涼しげに音楽の時間を味わおう。

新ホールオルガニスト:澤菜摘 (c)山口敦/提供:ミューザ川崎シンフォニーホール
新ホールオルガニスト:澤菜摘 (c)山口敦/提供:ミューザ川崎シンフォニーホール

公演ラインアップは以下のとおり。

7月25日(土) 東京交響楽団 オープニングコンサート
新音楽監督ロレンツォ・ヴィオッティが登場。メインのリムスキー=コルサコフ《シェエラザード》で新コンビの“船出”を告げる。そのヴァイオリン・ソロはコンサートマスターが弾くが、他にもドビュッシー《牧神の午後の前奏曲》、リムスキー=コルサコフ《スペイン奇想曲》と、ソロが目立つ組み合わせで、楽団の豊かな個性を示す。

7月26日(日) 仙台フィルハーモニー管弦楽団
恒例となっている“首都圏以外オケ”の枠に、仙台フィルが、常任指揮者・高関健との名コンビで再登場。ショスタコーヴィチ交響曲第9番とチャイコフスキー《悲愴》という、軽妙と深淵が対照をなす濃密なロシア・プログラム。

7月28日(火) 洗足学園音楽大学
川崎市にキャンパスを置く2つの音楽大学もサマーミューザの大切な主役。名門バレエ団と提携した強力なバレエ・コースがある洗足学園ならではの、バレエとオーケストラの共演。指揮は永峰大輔。視覚と音楽が一体となる舞台芸術の華麗な魅力を総合的に味わえる。

7月29日(水) 東京都交響楽団
芸術顧問・大野和士の指揮で、没後50年のブリテンと没後170年のシューマン、二人のメモリアル・イヤーの作曲家に焦点。竹澤恭子の独奏によるブリテンのヴァイオリン協奏曲は今年のサマーミューザのハイライトのひとつ。シューマンはロマンティックな交響曲第4番。

7月30日(木) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
太田弦の指揮で、アイヴズ《アメリカ変奏曲》とグルダ《チェロと吹奏楽のための協奏曲》(独奏:笹沼樹)という異色作が並ぶ意欲的プログラム。サン=サーンスの交響曲第3番《オルガン付き》ではミューザの新ホールオルガニスト澤菜摘が登場と、全編聴きどころだらけ。

7月31日(金) 読売日本交響楽団
常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレが、バイロイトでも指揮したワーグナー《マイスタージンガー》のオーケストラ版。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を、2024年浜松国際ピアノコンクールで日本人初優勝を果たした注目の鈴木愛美が弾くのも聴き逃せない。

8月1日(土) 新日本フィルハーモニー交響楽団
音楽監督・佐渡裕による十八番のレパートリー。師バーンスタインの作品《キャンディード》《ウエスト・サイド・ストーリー》と師も得意にしたマーラー《巨人》を振る。8月25日生まれだったバーンスタインの誕生月に贈るトリビュート。

8月2日(日) イッツ・ア・ピアノワールド(ピアノ:小川典子)
ピアニスト小川典子による人気企画。ステージ上に座ってピアノの響きを身体で感じる体験は、大人でもうらやましい。没後30年の武満徹《雨の樹素描》など、けっして”子供だまし“ではない真剣勝負が音楽への興味をぐっと引き寄せる。

8月2日(日) 東京交響楽団[出張サマーミューザ@しんゆり]*会場=昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ(新百合ヶ丘)
同時代を生きたラヴェルとガーシュウィンを軸にした洒脱なプログラム。ジャズも取り入れたラヴェルのピアノ協奏曲や、ガーシュウィンがパリを訪れた印象をきっかけに生まれた《パリのアメリカ人》。キャリアとともに表現がどんどん研ぎ澄まされていく牛田智大のラヴェルは聴きどころ。

8月2日(日) 真夏のバッハⅪ(パイプオルガン・リサイタル)
フランスの大御所ミシェル・ブヴァールの壮麗なパイプオルガンの響きがホール空間を満たす。バッハの有名曲を楽しみつつ、バッハも憧れたブクステフーデなど、その源流をたどる構成で、オルガン音楽の広がりを示す。

8月3日(月) NHK交響楽団
正指揮者・下野竜也の指揮。ホルンのトップ奏者アレッシオ・アレグリーニを独奏に迎えたR.シュトラウスのホルン協奏曲第2番を軸に、ホルンに焦点を当てたプログラム。ハイドンの交響曲《狩り》、メンデルスゾーンの《夏の夜の夢》の〈夜想曲〉もホルンが活躍する。やわらかく豊かな響きが、夏の夜に心地よい。

8月5日(水) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
首席客演指揮者・藤岡幸夫が導くスペイン・プログラム。《カルメン》からファリャの《三角帽子》まで、情熱と哀愁がたっぷり。ドリーブの歌曲やサルスエラのアリアで野々村彩乃のソプラノも活躍する。《三角帽子》では藤岡による解説(オケの実演付き)が添えられる。

8月6日(木) 昭和音楽大学
川崎にある昭和音楽大学は、今年も現役学生と若手卒業生のフレッシュな力を結集。ベテラン梅田俊明に率いられ、ベートーヴェン交響曲第4番と《春の祭典》にエネルギッシュに挑戦する。

8月8日(土) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団[出張サマーミューザ@しんゆり]*会場=昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ(新百合ヶ丘)
4歳から入場可能な「こどもフェスタ」。「オーケストラと遊ぼう!おんがく分解大作戦」と題して、名曲を題材に、楽器紹介やボディ・パーカッションなど、オーケストラと音楽の仕組みも学びながら、楽しく遊べる。指揮は和田一樹。

8月8日(土) サマーナイト・ジャズ
塩谷哲を中心に名手が集結。トランペット:ルイス・バジェ、トロンボーン:中川英二郎、サクソフォーン:鈴木真明地、パーカッション:大儀見元、ベース:小川晋平。当日発表の楽曲で繰り広げられるスリリングなジャズ・ライブ。

8月9日(日) 日本フィルハーモニー交響楽団
元ウィーン・フィルのヴァイオリン奏者クリストフ・コンツ指揮によるウィーン・プログラム。取り上げるのは、お互いを認め合い、19世紀末のウィーンを魅了したJ.シュトラウス2世とブラームス。《こうもり》序曲で幕を開け、ブラームスのヴァイオリン協奏曲(独奏=周防亮介)と交響曲第1番へ。

8月10日(月) 東京フィルハーモニー交響楽団
小林研一郎がピアノに金子三勇士を迎えて、ベートーヴェンの協奏曲《皇帝》と《田園》を振る黄金プログラム。今年4月に86歳を迎えた“炎のマエストロ”の情熱と深い祈り。50年以上にわたってハンガリーと縁の深い小林と、ハンガリー人の母を持つ金子。第二の祖国が二人の内奥で響き合う。

8月11日(火・祝) 東京交響楽団 フィナーレコンサート
祝祭の締めくくりは、ホスト・オケの東京交響楽団、3月末で正指揮者の任期を満了した原田慶太楼が東響の指揮台に戻ってくる。昨年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで日本人史上最高位の第2位を獲得した久末航によるプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番からチャイコフスキーの交響曲第5番へ、熱狂のクライマックス。

取材・文:宮本明
TOP写真:福田紀彦 川崎市長(左から2番目)ら登壇者 (c)山口敦/提供:ミューザ川崎シンフォニーホール

フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2026

フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2026

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2667118

7月25日(土)〜8月11日(火・祝)
ミューザ川崎シンフォニーホール
昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ

https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/

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