こんにちは!指揮者の坂入健司郎です。
いま私はパリにいます。3月10日からベルリンとパリを周遊し、音楽をひたすら聴き、学ぶ一週間を過ごす予定です。今日は、これまで聴いたコンサートを2つご紹介しようと思います。
●ベルリンにラトルが再び…!シュターツカペレ・ベルリンによるマーラー『復活』
ベルリン国立歌劇場(シュターツカペレ・ベルリン)とサー・サイモン・ラトル指揮によるヤナーチェク・シリーズの一環で、ただいま『利口な女狐の物語』を絶賛上演中のコンビがオーケストラ・コンサートにも登場。なんと、かつてのラトルの本拠地であるベルリン・フィルハーモニー(ホール)でマーラーの交響曲第2番『復活』を演奏するということで駆けつけました。
ラトルは第1楽章から、異様なまでの気迫。マーラーの交響曲は、譜面に書いてある指示が多いため、「譜面に書いてあることに忠実であることをプレゼンテーションする」ような演奏に陥りがちなのですが、「何を表現するためにマーラーが書いた指示を忠実に行うのか」という大切なポイントが明確なので、観客もグイグイと彼らの描く世界観に飲み込まれてゆきます。常に緊迫感を湛えながら90分もの大作を描ききり、最後に合唱が「神のもとへ!(zu Gott!!!)」と絶唱すると会場も大いに湧きました。ほぼ全員が総立ちのスタンディング・オベーション。この演奏会で、ラトルはシュターツカペレ・ベルリンの名誉指揮者に就任することが発表され、これからもベルリンでラトルが聴けることになるようです。そう、つまりラトルにとってもベルリン『復活』コンサートとなったのです。
…ちなみにマーラーの交響曲第2番『復活』は、今年のラトル指揮、バイエルン放送交響楽団の来日公演の演目にも選ばれておりますので、日本でもこのような素晴らしい演奏を聴けることでしょう!今から期待が高まるところです。
●パリではプーランクのモノオペラ『人間の声』を舞台演出付きで…
パリでは、ストラヴィンスキー『春の祭典』が初演され大スキャンダルとなった歴史的な舞台である、シャンゼリゼ劇場へやってきました。エッフェル塔が良く見える、パリの中でもとりわけ人気スポットに聳え立つ劇場です。
プーランクが、ジャン・コクトーの戯曲を題材に作曲し、1959年に初演されたモノオペラ(登場人物が1人だけのオペラ)である『人間の声』。一人の若い女性が5年間連れ添った彼氏と別れ、最後に彼氏と電話をするという物語で、途中までは平静を装っていたものの、徐々に悲しみが溢れ出し、最後は電話線に首を括って自ら命を断つという悲劇です。
主演を務めたパトリシア・プティボンは、まさにこの作品の理想的なキャスティング。凄まじい歌唱と迫真の演技でした。演出はオリヴィエ・ピィ。彼氏との通話は、電話線を設けずweb通話によるパソコン越しという、いまどきの設定。主人公の女性は睡眠薬に加えて、スピリッツも呷り、錯乱状態に。途中のクライマックスを迎えてからは舞台が360°回り、幻覚を一緒に観ているかのような現代的演出でした。
演奏会の後半には、『人間の声』と対になるように作曲されたティエリー・エスケシュの新作も上演されました。素晴らしい音楽でしたが、話の内容があまりに後味が悪いもので会場からはブーイングとブラボーが交差する、まさに『春の祭典』の初演地に相応しいチャレンジングな上演でした。
これから、あと6公演観て日本に帰ってきます。またどこかで、この後の公演リポートもお話しできたら嬉しいです。
今日は、ヨーロッパ音楽紀行をお届けしました。
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