下野竜也に聞く 日本フィルハーモニー交響楽団 第778回東京定期演奏会

2026.01.30

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日本フィル 第778回東京定期演奏会 チラシ

──ムーサの《エリジウム》を知ったきっかけは?

「世界初演をテレビで観たのがこの作品との出会いです。空間が歪むような音だけどきれいな和音もある。これはなんだ、演奏してみたいと思っていたら、広島交響楽団の素晴らしいライブラリアンの松田弘美さんが調べてくれて、ムーサと直接、連絡を取れるようになりました。この作品では異空間に放たれたような不思議な身体感覚を得ることができます。」

──ナイマンのピアノ協奏曲は、映画『ピアノ・レッスン』の音楽の集成ですね。

「この曲にはミニマル風や民謡風など、さまざまな楽想が登場します。こういう曲の場合、個々の奏者が家でひとりで譜読みをしていると、これほどの苦痛はないという声もあがりますが、合わせてみると、紡ぎ出される音はグルーヴ感のあるサウンドになる。映画を懐かしく思い出すみなさんにも楽しんでもらいたいです。

独奏者の野田清隆さんとはこれまで、矢代秋雄や尾高惇忠らの協奏曲などをいっしょに演奏しました。実直でいつも成果を出してくれる。あれほどオーケストラのことを熟知したピアニストは貴重な存在ですよ。」

──シベリウスの交響曲はよく指揮なさいますか?

「シベリウスの交響曲を公開演奏会で指揮するのは初めてです。あるとき『死ぬ間際に聴きたい音楽』という記事を見たところ、シベリウスの交響曲第6番の人気が高い。聴いてみたらドリア調の不思議な感覚、張り詰めた感じがとても佳かった。あんた、あんなに知らない曲ばかり取り上げているくせに、大切なレパートリーを振ってないじゃないかって自分自身で思って、やってみようと考えました。」

──7つあるうち第6番を取り上げるのはなぜですか?

「他の曲との組み合わせを考えたとき、第6番しかありませんでした。最初から最後までオーケストラの穏やかな響きのなかに身を置いて癒しの時を得る。静謐な森を歩いて、ついに誰とも会わなかったけれど、とても充実した時間を過ごせた、そんなことを全体として表現できればと考えています。」


インタビュー:澤谷夏樹





日本フィルハーモニー交響楽団
第778回東京定期演奏会

◆チケット情報
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2522744&rlsCd=001

◆日程
2026年3月13日(金) 19:00開演(18:20開場)
2026年3月14日(土) 14:00開演(13:10開場)
サントリーホール 大ホール 

◆出演
指揮:下野竜也
ピアノ:野田清隆

◆プログラム
サミー・ムーサ:エリジウム
マイケル・ナイマン:ピアノ協奏曲(『ピアノレッスン』より/1993)
シベリウス:交響曲第6番 ニ短調 op.104

プレトーク「本日の聴きどころ」
3月13日(金)公演 18:30~
3月14日(土)公演 13:20~

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