こんにちは!指揮者の坂入健司郎です。
はやいもので2024年もあとわずかとなりました。皆様にとって今年はどんな一年でしたでしょうか。私にとっては、NHK交響楽団の皆様とのデビュー公演があったり、1ヶ月ヨーロッパに行ったり、公私共に忘れることのできない一年となりました!
そんな2024年の締めくくりはやはり「第九」!今日は、年末の風物詩となっている「第九」(ベートーヴェンの交響曲第9番)をご紹介します。
●なぜ年末には「第九」なの?
「年の瀬に第九を聴く」というのはもはや日本では欠かせないイベントとなっていますが、意外にも欧米諸国では頻繁に演奏される作品ではありませんでした。たしかにベルリンやウィーンに限っては、12月31日にジルヴェスター・コンサート(大晦日コンサート)で毎年第九を演奏するオーケストラがあるものの、「12月にどこのオーケストラも必ず第九を演奏する」というのは日本独自の文化として根付いていったものなのです。
1940年代からラジオ放送が普及し、NHK交響楽団の第九の演奏が放送されると、日本人誰もが知られる曲となっていきました。と同時に、戦後まもなく全国各地で結成されたプロオーケストラは、まだまだ戦後復興期の世の中で年越しの資金を得るのに大変でした。
そこで、すでに全国的に知られていた第九を、戦後に盛んになったアマチュアの合唱団とともに第九を演奏しよう!という企画が年末に各地で組まれました。出演するアマチュア合唱団は、家族や知人たちに観にきてもらおうとたくさんチケットを購入するので、会場はどこも満員御礼。こうして「年末の第九」は日本の風物詩、と同時に、楽団の収益確保にもつながる一大興行にもなっていきました。
今となっては、日本での「年末の第九」人気を逆輸入しようと、ヨーロッパのオーケストラでも年末に「第九」を演奏するオーケストラが出てきたほど。日本における「年末の第九」は、いまや世界的な知名度になっているのです!
●今年も豪華!「第九」公演のご紹介!
今年も、200公演ちかくの「第九」が全国各地で演奏されます。今年のラインナップも超豪華です!
NHK交響楽団には、首席指揮者を務められているファビオ・ルイージ氏が登場。読売日本交響楽団は、カッセル歌劇場でシェフを務めたフランチェスコ・アンジェリコ氏が指揮を務めます。そして、日本フィルには小林研一郎氏が、東京都交響楽団には小泉和裕氏がそれぞれ登場。東京フィルハーモニー交響楽団には、フィラデルフィア管弦楽団のアシスタント・コンダクターを務め世界各地のオーケストラへ客演を重ねるケンショウ・ワタナベ氏が「第九」コンサートにデビューされます。大阪フィルハーモニー交響楽団には、巨匠ユベール・スダーン氏が来日。きっと鮮烈な「第九」を聴かせてくれることでしょう。
もうすでに完売御礼公演も多くなっておりますので、チケットはお早めに!
https://t.pia.jp/pia/tag/tag.do?tagCd=0000019
今日は、年末の風物詩である「第九」の演奏会についてご紹介しました。
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