【坂入健司郎コラム】つれづれなるままに…

2024.06.13

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こんにちは!指揮者の坂入健司郎です。
梅雨が近づき、蒸し暑く寝苦しい日が続きますね。皆様、どうか体調にはくれぐれもお気をつけください。
今日は、つれづれなるままに私の近況をコラムにしたためたいと思います!

●最近観た映画は…

今週、久々に映画館へ行きました。第96回アカデミー賞で国際長編映画賞・音響賞の2部門を受賞した話題作、『関心領域』を観賞してきました。アウシュビッツ収容所の隣で幸せ(?)に暮らす家族の話で、アウシュビッツの凄惨な様子を鑑賞者に直接見せることなくとも、不気味な音や何気ない家族の生活から想像させる凄まじく恐ろしい映画でした。アカデミー賞で音響賞を獲得したことが納得できる「音で想像させる」映画。是非、劇場で観ていただきたい作品です。
ナチスのホロコーストは、クラシック音楽にも巨大な闇を落としました。ナチスは、チェコのテレジーン収容所において、ユダヤ人が文化的な生活をしていることをアピールする記録映画を作成しています。そこでは、ユダヤ人のオーケストラが組織され、指揮者には名指揮者カレル・アンチェルが登場します。しかし、この記録映画を収録した直後、出演したユダヤ人たちは一斉にアウシュヴィッツに送られて、ほとんどの人間が命を落としたのです。この記録映画で観ることができる「ほのぼのとした」タッチが、今回の『関心領域』でも踏襲されていて、心を引き裂かれるような思いで鑑賞しました。
(※指揮者のカレル・アンチェルは奇跡的に一命を取りとめ、戦後チェコ・フィルの再建に尽力されました。)

●久々に再開した…

プロ野球は、ちょうどセ・パ交流戦が開催され連日熱戦が繰り広げられています。そんな中、私は20年ぶりに野球をする機会がありました。小中学校の頃の記憶を辿ってやってみても、球が投げられない!足が動かない!大変なショックとともに毎日投げ込み、走り込みを再開しました。いつかプロ野球の始球式に出れるように…頑張ってまいりたいと思います。笑

●今後の出演は…

いま私は、来週の6月21日(金)に迫った、箕面市立メイプルホールで行われる『坂入健司郎×大阪交響楽団ブラームス交響曲全曲演奏会 Vol.4』に向けて準備を重ねております。

箕面市立メイプルホールと大阪交響楽団からはじめて出演オファーのご連絡をいただいたのが、五年前。2019年の夏でした。大阪のオーケストラ・デビューとなる演奏会に心躍らせておりましたが、コロナ禍によって三度の延期。2021年の6月にようやっと開催へ漕ぎ着けました。そのときの大阪デビューコンサートは生涯忘れることのない演奏会となりました。当時はここ、「ぴあ」の社員として働きながら指揮をしていた二足の草鞋を履く指揮者でしたが、指揮者として独立するきっかけになった演奏会でもありました。

そして、2022年から二年にわたって演奏を重ねてきたブラームス交響曲全曲演奏会は、大阪交響楽団の持つ美しい響きをいかに箕面のメイプルホールで活かせるか、団員の皆様や、お客様、そしてホールの皆様と共に意見を交わしながら、毎度進化を重ねる演奏会になっていきました。
6月21日、いよいよファイナルを迎えます。2021年のデビューコンサートで共演したヴァイオリニストの石上真由子さんとも再共演が実現し、ブラームスの寵愛を受けたドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲を演奏します。演奏会の最初にはブラームスが終生愛したバッハの作品をお届けします。そして、演奏会の後半にはブラームス最後の交響曲、第4番を。ブラームスが見つめた過去、そして未来を俯瞰できるようなプログラムにしました。この二年間、いえ、準備を含めた五年間の集大成になるような演奏をお届けできるよう、万感の思いを込めて演奏します。どうかご期待ください!

坂入健司郎×大阪交響楽団ブラームス交響曲全曲演奏会 Vol.4
https://minoh-bunka.com/2024/01/21/20240621-brahms-symphonies/


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坂入健司郎Twitter:https://twitter.com/siegfried512

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