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〈第3回〉東京・春・音楽祭2024 The 20th Anniversary 20歳の頃 ~20名の大作曲家たちのエピソードをご紹介~

2024.03.04

  • よみもの
春祭メイン

上野の山を彩る“桜の季節の風物詩”「東京・春・音楽祭」が20回目を迎えます。人間に例えてみれば、20歳は大人の仲間入り。世間一般に“個人”として認められる人生の大きな節目です。クラシックの世界に鑑みてみても、20歳の頃は、過去の偉大な作曲家たちが人生の節目を迎えつつある時期であったことが伺えます。というわけで、第20回を迎える「東京・春・音楽祭」に関連する作曲家たちの中から20人をピックアップして、彼らの「20歳の頃」を紐解いてみたいと思います。若き日の人間味あふれる姿を知ることによって、彼らが遺した音楽の素晴らしさもきっと“20倍”にも膨らむことでしょう。

文・田中 泰


春祭コラム


● Vol.9:ヴェルディ(1813-1901)
〜“オペラ王”がその地位に至るための修行時代〜

イタリアの“オペラ王”ヴェルディの20歳の頃は、まさに修行時代です。前年、名門「ミラノ音楽院」を受験して不合格となったことは、ヴェルディにとって自尊心を打ち砕かれるような出来事でした。それでもミラノに留まったヴェルディは、音楽院教師で作曲家ラヴィーニャのもとで学びます。スカラ座で作曲や演奏も担当していたラヴィーニャは、ヴェルディの才能を認め、音楽に関するあらゆる機会を与えます。ミラノでの勉強は22歳の1835年まで続き、翌36年に行われたプッセート市の音楽教師選考試験において「プッセートどころか、パリやロンドンのマエストロも務まるほど豊富な技術を身に付けた、成熟した音楽家である」との評価を得たのですから流石です。その努力は半端ではなかったのでしょうね。

↓関連公演はこちら!

《アイーダ》(演奏会形式/字幕付)
2024年4月17日 [水] / 4月20日 [土] 14:00開演 東京文化会館 大ホール
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● Vol.10:ワーグナー(1813-1883)
〜高い理想と強い思い入れを併せ持つ自信家の芽生え〜

既存のオペラの概念を打ち破り、新たな音楽劇を創造したワーグナーは、理想が高く思い入れの強い青年でした。17歳の時に心酔したのが終生のアイドル、ベートーヴェン。当時としては破格の前衛作品《第九》をピアノ用に編曲しますが、ピアノに精通していないワーグナーのこの作品は、ほとんど演奏不可能だったのです。20歳の年の2月には、ヴュルツブルグ市の合唱指揮者に就任。第2のオペラ《妖精》に取り掛かりますが、なかなか芽が出ず貧困に苦しみます。その際に「僕の人生は外面的に深刻な様相を呈している。冬までにオペラを仕上げるために、夏の隠れ家をどこかに確保することを考えねば…」などと口にしているのですから、20歳にして、すでにワーグナーの本質は出来上がっていたようです。

↓関連公演はこちら!

東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.15《トリスタンとイゾルデ》(演奏会形式/字幕付)
2024年3月27日 [水] / 3月30日 [土] 15:00開演 東京文化会館 大ホール
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The 20th Anniversary ワーグナー『ニーベルングの指環』ガラ・コンサート
2024年4月7日 [日] 15:00開演 東京文化会館 大ホール
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東京春祭マラソン・コンサート vol.14《第九》への道——《第九》からの道 歓喜の歌(ベートーヴェン 交響曲 第9番)初演200年に寄せて
2024年3月23日 [土] 13:00/16:00/19:00開演 東京文化会館 小ホール
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東京春祭 歌曲シリーズ vol.40 オッカ・フォン・デア・ダメラウ(メゾ・ソプラノ)&ソフィー・レノー(ピアノ) 
2024年4月15日 [月] 19:00開演 東京文化会館 小ホール
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東京春祭 for Kids 子どものためのワーグナー《トリスタンとイゾルデ》(バイロイト音楽祭提携公演)
2024年3月23日 [土] ~ 3月31日 [日] 三井住友銀行 東館 ライジング・スクエア1階 アース・ガーデン
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● Vol.11:ブルックナー(1824-1896)
〜再びオルガンに目覚め、作曲家への第1歩を踏み出した20歳の頃〜

16歳の折に、オルガニストになる夢を諦め、父と同じ教職の道に進んだブルックナーは、翌年教員登用試験に合格します。しかし赴任先での退屈な生活に辟易してしまい、ある事件をきっかけに転任させられてしまいます。左遷かと思いきや、新たな赴任先で出会ったのが、作曲家でオルガニストのツェネッティだったのです。彼のもとで再びオルガンに目覚めたブルックナーは修練を重ね、修道院の教師などを務めながら無双のオルガニストとしての道を歩み始めるのですから人生はわからないものです。さらには、近くの街で演奏会を聴く機会にも恵まれて大きな刺激を受け、合唱曲を作曲するなどして作曲家への第1歩も踏み出したのです。まさに、ブルックナーの20歳前後は、彼本来の重厚な音楽を育む重要な時期だったと言えそうです。

↓関連公演はこちら!

東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.11 ブルックナー《ミサ曲第3番》生誕200年に寄せて
2024年4月13日 [土] 14:00開演 東京文化会館 大ホール
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シェーンベルクとウィーン 生誕150年に寄せて
2024年4月11日 [木] 19:00開演 東京文化会館 小ホール
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● Vol.12:プッチーニ(1858-1924)
〜20歳のプッチーニは、陽気でスタイリッシュなイタリアーノ〜

19世紀から20世紀にかけてイタリア・オペラ界をリードしたプッチーニは、代々教会音楽を作曲する家系に生まれましたが、神童ではありませんでした。18歳の年にピサで観たヴェルディのオペラ《アイーダ》をきっかけに作曲家を志し、19歳で教会オルガニストに就任。22歳でミラノ音楽院に入学。というわけで、プッチーニの20歳の頃は、まさに作曲家になるための下積み時代でした。その性格は陽気でやんちゃ。しかし、自分がこれと決めたものにはとことん情熱を注ぐタイプだったようです。この性格が彼の未来を切り開いたのでしょう。容姿はハンサムでスタイリッシュ。女性扱いの上手さも相まって、若い頃からモテモテだったようです。20歳のプッチーニは、典型的なイタリアーノだったのでしょうね。

↓関連公演はこちら!

東京春祭プッチーニ・シリーズ vol.5《ラ・ボエーム》(演奏会形式/字幕付)
2024年4月11日 [木] 18:30開演 / 4月14日 [日] 14:00開演 東京文化会館 大ホール
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田中泰(音楽ジャーナリスト/プロデューサー)
1988年「ぴあ」入社以来一貫してクラシックジャンルを担当。2008年「スプートニク」を設立して独立。「家庭画報web(名曲物語365)」「アプリ版ぴあ(クラシック新発見)」などの連載や、J-WAVE「モーニングクラシック」のナビゲーター、JAL機内クラシックチャンネルの構成などを通じて、一般の人々へのクラシック音楽の普及に尽力。


東京・春・音楽祭2024 特集ページ
https://t.pia.jp/pia/events/tokyo-harusai/

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