明けましておめでとうございます。本年も、何卒よろしくお願い致します。
2024年はますます「ぴあクラシック公式サイト〜poco a poco〜」が盛り上がる一年になるよう、頑張ってまいります!
さあ、新年最初のコラムは2024年にアニバーサリー・イヤーを迎える作曲家たちについて掘り下げていきたいと思います。
●最先端の音楽を生み続けたシェーンベルクは生誕150周年!
アルノルト・シェーンベルクは、1874年にウィーンで生まれました。ユダヤ人ということもあって、ナチス政権下の時代にアメリカへ亡命するなど激動の人生を歩んだ作曲家です。
シェーンベルクはもともと、マーラーやリヒャルト・シュトラウスに代表されるような爛熟したロマン的な音楽を作曲していましたが、時代が進むにつれ無調音楽となってゆき、不協和音も厭わない「十二音音楽」を確立した作曲家です。これにより、オペラなどでも現代的な不条理や、はたまた想像を絶するグロテスクな表現も可能にしていったクラシックの革命児です。(そんな革命児がすでに150年前に誕生していたとは驚きですね!)
今日は、シェーンベルクの代表作「月に憑かれたピエロ」の抜粋を映像でご紹介します。なんとヴァイオリニストのコパチンスカヤが歌い手&演出家として出演しているエキサイティングな演奏です!
https://www.youtube.com/watch?v=48WnNgrH57E
●チェコ音楽の祖、スメタナは生誕200周年!
ベドジフ・スメタナは、1824年にボヘミア(チェコの西部)で生まれた作曲家です。当時はオーストリア帝国領だったボヘミアですが、1848年のオーストリア革命以降、国民的にチェコ人としての意識が高まっていた中、チェコ音楽を確立していった作曲家です。
スメタナがチェコで発表したオペラや、彼の指揮活動は前例をみないものであり、たくさんの衝突や妨害を受けました。そんな度重なるストレスからか、スメタナは50歳にして神経衰弱と難聴に悩まされます。そんな中、チェコの歴史・神話・風景を描写した6つの連作交響詩「我が祖国」が作曲されます。この「我が祖国」は今でもスメタナ、そしてチェコを代表する傑作として輝き続けており、毎年スメタナの命日である5月12日にはチェコのプラハで「我が祖国」全曲が演奏されています。
現在はチェコ・フィルの首席指揮者を務めるビシュコフの指揮による演奏でお聴きください。(本演奏はWDR交響楽団によるものです)
https://youtu.be/KR8h5nRKAio?si=2nX5_lKFQ5tzZ1GW
●かつてないスケールの交響曲を遺したブルックナーも生誕200周年!
さあ、最後はブルックナーです。オーストリア・リンツ近郊に生まれたブルックナーは30代半ばまでは学校の先生やオルガン奏者として生計を立てていましたが、一念発起して作曲家としての道を歩むことを決意します。ブルックナーは朴訥な性格ながら、若くして亡くした父の代わりに厳しい学校教員の訓練を受けたこともあって、神経衰弱になってしまった時期もありました。そんなブルックナーは音楽にますます没頭、次第に彼の頭の中で森羅万象を超越するようなスケールで広がる音楽が溢れ出るようになります。
当時では想像もつかない重厚長大な交響曲は、残念ながら最初は誰からも相手にされませんでしたが、ブルックナーが60歳となった1884年に初演した交響曲第7番が空前の大成功を収め、72歳で亡くなるまでオーストリアを代表する作曲家として名を馳せることになりました。
ブルックナーは私の最も愛する作曲家。今年は「Bruckner 200 Project」と銘打って、ブルックナーの交響曲を集中して演奏します。
早速1月には、交響曲第5番、7番、8番を京都、東京、浜松で演奏する予定です。下記に今後の私の出演スケジュールを載せておきますので、ぜひ会場でブルックナーの壮大な世界を体感していただけたら幸いです。
https://note.com/siegfried512/n/nbc190e6e5d2f
今日は、2024年にアニバーサリー・イヤーを迎える作曲家たちについてご紹介しました。
クラシック音楽についての素朴な疑問や気になることは、日々、皆様からのご質問を受け付けております。
ハッシュタグ「#マエストロケンシロウに聞く」をつけてTwitterでお気軽に呟いてみてください!
坂入健司郎Twitter:https://twitter.com/siegfried512