こんにちは!指揮者の坂入健司郎です。
8月もようやく終わり。「酷暑」という表現がぴったりの暑すぎる毎日も、ようやく過ぎ去ってくれると思うと楽しみがいっぱいの9月になりそうです。まだまだ暑い日は続くものの、すでに日暮れは早くなってきました。今日は、これから来る秋の夜長に楽しめるクラシック音楽をご紹介します!
⚫︎秋に聴きたいメンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」
秋に聴くクラシックとして、まずおすすめしたいのがメンデルスゾーンの「スコットランド」交響曲。この作品は1829年、当時20歳だったメンデルスゾーンがスコットランドへ観光している際に着想された作品です。メンデルスゾーンは、幼少時から天才音楽家として名を馳せていましたが、画家としても非凡なる才能を発揮。風景画を中心に現在でも70点以上の絵画が残されています。つまり、風景の描写がキャンバスでも音楽でも巧みだったわけですね。
そんなメンデルスゾーンが38歳という短い人生の中で13年もの歳月をかけて作曲したのが、この交響曲第3番「スコットランド」です。20歳のときから着想し、最終的にはメンデルスゾーンが最後に書き上げた交響曲となってしまいました。それほど、緻密な音楽の風景描写は、秋の涼し気でちょっぴり物悲しい雰囲気とマッチする作品なのでおすすめです!
⚫︎哀愁漂うロマン!ブラームスの交響曲に浸る秋
もうひとつ、秋におすすめしたい作品が、ブラームスの交響曲です。ブラームスはベートーヴェンやバッハなど古典作品への敬意と愛情の深い作曲家で、「新古典派」などと称され保守的な作曲家とみられる向きもありますが、内面からほとばしる哀愁漂うロマンティックな表現はブラームスに右に出るものはいないでしょう。
交響曲の第3番の第3楽章など、メランコリックな表現も素敵ですが、今回はブラームスの交響曲第1番をおすすめします。こちらは、メンデルスゾーンの「スコットランド」超えの21年間という長い作曲期間をかけて誕生した傑作で、ブラームスの魅力が凝縮された交響曲です。
実は、9月中旬より、読売日本交響楽団の皆様と私が共演したブラームスの交響曲第1番が、CDとして発売されますので、ぜひ皆様にも聴いていただけたら嬉しいです。手前味噌で恐縮ながら、読響の素晴らしいサウンドを心ゆくまで堪能できる仕上がりでおすすめです!
https://tower.jp/article/feature_item/2023/08/23/1107
【収録曲目】
モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』 序曲
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68
【演奏】
坂入健司郎(指揮)/読売日本交響楽団
【録音】
2022年4月29日 読響創立60周年記念 甲府特別演奏会 ライヴ録音
今日は、秋の夜長に楽しむクラシックと題してお送りしました。クラシック音楽についての素朴な疑問や気になることは、日々、皆様からのご質問を受け付けております。ハッシュタグ「#マエストロケンシロウに聞く」をつけてTwitterでお気軽に呟いてみてください!坂入健司郎Twitter:https://twitter.com/siegfried512