【坂入健司郎 コラム】年末年始もクラシックのコンサートで!

2022.11.12

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ジルベスター東響2022
(c)藤本史昭

年末年始が近づいてきました。
今年は皆様にとって、どんな一年になりましたでしょうか?

クラシックの世界では、第九のシーズンが終わると、ジルベスターコンサートやニューイヤーコンサートが目白押しの季節になります。
今回は、ジルベスターコンサートやニューイヤーコンサートについて紐解きます。


▼ジルベスターコンサートってなに?

ジルベスターとはドイツ語で大晦日(Silvester=聖ジルベスターの日)をさす言葉で、大晦日の日を中心に催されるコンサートです。
ドイツ語が使われているだけあって、ドイツではジルベスターコンサートが各地で行われており、とりわけベルリン・フィルハーモニーのジルベスターコンサートは全世界に中継される名物イベントになっています。

日本のジルベスターコンサート受容は、1995年(→1996年)から渋谷・オーチャードホールで行われている東急ジルベスターコンサートが先駆けとなりました。
当時、東京フィルハーモニー交響楽団の常任指揮者でいらした大野和士さんの発案で始まった、年越しの午前0時ピッタリに演奏を終えるという、世界初のオーケストラ演奏によるカウントダウンイベントは、いまなおテレビで生中継され人気を博しています。

…ちなみに私も小学生のとき、この東急ジルベスターコンサートの第一回をテレビで観て、ラヴェルの「ボレロ」を時間ピッタリに熱演を届けた大野和士さんの指揮姿に釘付けになり、指揮者に憧れるようになった思い出深い演奏会です!

ジルベスターコンサートは企画がさまざまで、演奏される曲も多種多様。
ただ、1曲1曲の演奏時間は短めで、とても親しみやすい曲を聴けるので気軽に楽しめるのが共通点です!
今年を振り返るような音楽も聴けるかも…?


▼ニューイヤーコンサートってなに?

年が明ければ、ニューイヤーコンサートの始まり!
ニューイヤーコンサートは、ジルベスターコンサートがドイツ・ベルリンで盛んなのに比してオーストリア・ウィーンがメインストリーム。
名指揮者クレメンス・クラウスがウィーン・フィルと行っていた「ヨハン・シュトラウス音楽会」が好評を博し、1939年の大晦日にジルベスターコンサートとして始まったのがきっかけで、1941年からは元日に演奏会を催すニューイヤーコンサートとして定着。ウィーン・フィルにとって欠かせないイベントとなりました。
ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートは全世界で中継され、世界的に年明けの風物詩となっています。
ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートには、2002年に日本人として初めて小澤征爾さんが指揮台に上がったことでも大きな話題となりました。

ニューイヤー・コンサートは、クラウス指揮のウィーン・フィルが始めた「ヨハン・シュトラウス音楽会」が元になっているため、ヨハン・シュトラウスや彼のファミリーが作曲したワルツやポルカなどを演奏するのが基本。
「美しき青きドナウ」に代表されるような優雅なワルツや、「雷鳴と電光」に代表されるような軽快なポルカを楽しむことが出来ます!


▼どうやって楽しめばいいの?

年末年始のお休みにクラシックの演奏会を聴くとなると、かしこまった服装で演奏会に行かなければならない…など敷居が高い印象があるかもしれません。
実際、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートは正装が基本。テレビ中継では、お客様たちの服装を眺めるのも楽しみの一つです。

しかし!日本で催されるジルベスターコンサートやニューイヤーコンサートは普段着でOK!
肩肘張らずに楽しむことができます。

また、ジルベスターコンサートもニューイヤーコンサートも共通して、一曲ごとの演奏時間が短いという特徴があるので、普段よりも気軽にクラシックを楽しむことができます。
普段のコンサートではなかなか観ることができない、オーケストラとバレエの共演、オペラ歌手や合唱団との共演が演目に組まれていることも。
プログラムを吟味してお気に入りの公演を見つければ、自分に合った楽しみ方ができるのです。

今日は、年末年始のコンサートの楽しみ方についてまとめてみました。
是非、年末年始のお休みを華やかにするコンサートに足を運んでみてください!

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