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ミニアルバム「PHYSICAL」全曲トレーラー映像&全曲解説公開!

2021.01.20

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2021年1月27日(水)発売の New Mini Album「PHYSICAL」の全曲視聴トレーラー映像を公開しました!さらに全曲解説も掲載!


▼全曲視聴トレーラー映像


2021年1月27日(水) 発売
Mini Album「PHYSICAL」

*初回限定盤(VIZL-1841):CD+DVD ¥3,600+税
*通常盤(VICL-65463):CDのみ ¥1,800+税
※ビクターオンラインストア限定スペシャルエディションの受注受付は終了いたしました。

<CD収録楽曲>
1. GIVE & TAKE
2. SMILE SMILE
3. empty boy
4. SOMA
5. Melting
6. insomnia

<DVD収録内容>
『AUTUMN JACK OF SEA TOUR ~TYPE-E (FROG)~』at LINE CUBE SHIBUYA(2020.01.26)

●「PHYSICAL」詳細はこちら

<全曲解説>

『PHYSICAL』に収録されている6曲の内、特に配信リリース済みの「SMILE SMILE」と「GIVE & TAKE」は、新鮮な作風を感じずにはいられない。ホーンセクションのサウンドが印象的な「SMILE SMILE」。ループのフレーズがひたすら流れ続ける「GIVE & TAKE」――しかし、これらが示す「新しさ」に着目し過ぎるのは、本質を見誤ることに繋がるのかもしれない。今年の5月中旬に「SMILE SMILE」に関するリモート取材を行った際の米田の発言をふと思い出したりもしつつ、そんなことを考え続けている。

「SMILE SMILE」に関して米田は、「90年代初頭の世の中の穏やかな空気感を表現したかった」という旨を語っていた。ホーンの要素については、「ホールでのライブに似合う曲を作る上で自ずと辿り着いた」ということらしいが、その点に関してよりも「思い描いた空気感を形にする」ということの方が、彼にとって重要なテーマだったようだ。そして、そういう部分は今回のミニアルバムでも同様なのだと思う。

改めて振り返ってみると思い当たるのだが……夜ダンの活動の軌跡は、一貫して空気感の探求であると言っていい。音楽性をわかりやすく紹介する上で、「ロックンロールリヴァイバル」「ニューウェーブ」「ポストパンク」などがキーワードとなるのは紛れもない事実だが、彼らはこれらの要素のコピーに力を注いでいるわけではない。憧れている音楽が放つ香り、質感を自分たちにとってリアルな形で表現――米田から聞いたことがある言葉を借りるならば「空気感をサンプリングして今にアップデート」ということに真剣に向き合い続けているのが夜ダンだ。

『PHYSICAL』に収録されている多くの曲が放つ空気感に関しては、「靄がかっている」というようなニュアンスがかなり強い。そして、それはコロナ禍の真っ只中に未だにいる我々が抱いている想いとも重なるものだと思う。この点を検証する上では、つい先日取材をした際に西田が発した「ちょねくん(米田の愛称)がいないんです、そこに」という歌詞についての言及が大きなヒントとなり得るので、ぜひ紹介しておきたい。《題名のない街を永遠と ぐるぐる》と歌っている「empty boy」。《淫らな想像ばっか》《ふざけた妄想ばっか抱いてる》という状態の「insomnia」。目が覚めていないボンヤリ状態を描いている「Melting」。陽気にパーティーを楽しんでいる歌なのかと思いきや、《パーティーなフりしよ》という肩透かしを喰らわせてくる「SOMA」……どれも西田の言う通り、現実世界の人物の描写ではなく、妄想ワールドの歌であり、まさしく「ちょねくんがいない」というものになっている。

この西田の発言は、米田にとっても興味深いものであったらしく、照れくさそうに笑いながら「なるほど。言われてみればそう」と言っていた。「empty boy」「insomnia」「Melting」「SOMA」は新型コロナウィルスの影響で元々予定していた活動ができなくなった時期に制作されたものらしい。その頃に彼が抱いていた「普通に生活できているけど先が見えないという、ゆっくりと死んでいくような感覚」が、作った曲に如実に表れているのでは? そんな考察を投げかけてみたところ、それも本人にとって納得のいくものであったようだ。

穏やかなムードと共に躍動する「SMILE SMILE」。危険なトランス状態を着々と醸し出す「GIVE & TAKE」。音像の複雑なグラデーションを経て、サビで突然抜けの良さを示す「empty boy」と「SOMA」。メランコリックな空間でまどろむかのような感覚を味わえる「insomnia」と「Melting」――このミニアルバムは深い刺激をじっくりと届けてくれる。ライブが主戦場のロックバンドにとって理想的な日々だったはずもない2020年。しかし、そんな中でも夜ダンが着実に進化を重ねていたことが、『PHYSICAL』を聴けばハッキリとわかる。制作の過程で育まれたものは、彼らの今後にも大いに活かされていくだろう。

text by 田中 大

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