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リモートで直撃!配信シングル「SMILE SMILE」インタビュー<前編>

2020.06.05

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SMILE SMILE_インタビュー01


INTERVIEW


リモートで直撃!
配信シングル「SMILE SMILE」インタビュー
<前編>

text:田中 大
editor:荒井杏梨(ぴあ)

90年代、30年前くらいの感じを出したいなと思ってました。90年代という、自分たちが生まれて育った時代の感じを出したいというのがあったので。

――ホーンセクションが入っている曲は、「SMILE SMILE」が初めてですよね?

米田貴紀 はい。ホーン隊が入るのも初めてですし、ギター、ベース、ドラム以外の音色を入れるというのも、初めてなのかな? 同期を使うというのも、今までやってなかったですし。

――この試みに至った経緯は?

米田 今までにやってなかったことを何かやってみようというところから始まりまして、いろんなアイディアが出たなかのひとつに「ホーン隊」っていうのがあったんです。昔から「夜の本気ダンスの楽曲にホーン隊入れたら合うんじゃないか?」みたいなことは、薄っすらと話してたりしていて。なので、このアイディアが一番実現しやすいのかなと。あと、これは今年のホール公演に向けての曲でもあったので、「ホールで鳴らしたい曲って、どういう感じなんやろう?」って考えた時に、「ホーン隊が鳴ってる曲って、良いかもな」っていうところもありました。まあ、ホール公演では、ホーン隊を入れずに4人だけで鳴らしたんですけれども。

――新しい試みということだと、去年のアルバムの「Movin' feat. Creepy Nuts」もそうでしたよね。最近、新しい手法を試みたいという意欲が高まっています?

米田 そうですね。結構アルバムを出してきて、いろいろマンネリ化するところもあったりするので。あと、技術的な部分で進化していくっていうのも良いとは思うんですけど、たとえばホーン隊を入れるというような、外部から自分たちが良い影響を受けるみたいなことも、今の夜の本気ダンスならば、良いかなと。バンドを組みたての時期にそういうことをやると、自分たちの軸がわからなくなっていくのかもしれないですけど、今だったら外部からの影響を受けてやっていくのはアリなのかなと。

――鈴鹿さんは、今回の新しい試みに関しては、どのように感じました?

鈴鹿秋斗 めっちゃ良かったです。僕らが新曲をやる時って、「レコーディングしてからライブする」っていうことが多かったんですけど、今回は「ライブしてからレコーディングする」っていう形やったので、曲のイメージを膨らませやすかったです。ホーンの部分は、にしかず(西田)が作ったんですけど、かなり良かったので、「この曲、もっと良くなるな」と思いながらライブやレコーディングをしてました。実際、レコーディングの当日にホーン隊の人たちが来て、音を入れてくれたんですけど、想像してたよりも良かったです。ホーン隊の人たちも箇所ごとに、「ここ、3パターンぐらいやってみます」みたいな感じで、「そういうのもあるんや!」とか、良い勉強になりました。

――西田さんは、今回の制作で、どのようなことを感じました?

西田一紀 自分たちが作る曲にホーンを入れるっていうのは、やったことがないので、「どうなるのかな?」って思ってたんですけど、ばーっ!と作ってみたら、そこから道が見えてきたというか。「ここからまだまだ曲が良くなるな」という感触があって、前向きに作っていけました。

――ホーンのアレンジは、西田さんがリードして固めていったんですね。

西田 はい。ちょねくん(米田)が曲を作ってる間に、「ちょっとホーンを考えてくれへんか?」みたいな話があったので、打ち込みでザックリと作ったら、「良さそうやな」ってなったんです。

――ホーンのアレンジって、やったことがあったんですか?

西田 いや。ないんです。打ち込みも、本物のホーンのニュアンスとは違うので、「これは、いけてるのかどうか?」っていうのがわからんし、「打ち込みでは成立してるけど、ほんまもんのホーンで鳴らした時にどうなるのかな?」って、イメージしきれないところがあったんです。実際のレコーディングの現場でホーン隊の人たちが、「こういうニュアンスでもいけますよ」とか提案してくれてブラッシュアップしていく感じがあって、そういうのが新鮮でした。想定してたよりも上のものを提案してくれて、最終的に凄く良くなったなと思ってます。

――マイケルさんは、今回の制作は、いかがでした?

マイケル アレンジを考えてきたにしかずくん、すごいと思いました。やろうと思って簡単にできることではないと思うので。実際にそのアレンジでレコーディングしてみて、曲になったというのは、バンドにとっても、ひとつプラスになったと思います。今回の曲のベースラインも、にしかずくんがデモで作ってくれた通り、ほとんど弾いているんです。そういうところでも今回、刺激をもらった部分が多いですね。

――ホール公演で「SMILE SMILE」を演奏した時は、どのような感触がありました?

マイケル 正直なところ演奏で必死やったので、あんまり覚えてなくて(笑)。

――(笑)初めてのホールでのライブというものに関しては、どのような感触がありました?

米田 まだ2回しかやってないですけど、2回しかやってないにしては上出来というか。「ここは自分が立つ場所ではないな」みたいな場違いなことは思わなかったんです。無理せずにやれたかなと。

――ホールはステージも広いですし、たとえば、ゲストプレイヤーを招いたり、大掛かりな演出を導入したり、ライブの楽しみ方の可能性を広げられる面もあるでしょうね。

米田 そうですね。ライブハウスではできない部分というのも、もちろんあるし。あと、年齢と共に感性も変わってきますし、昔ほど「ライブハウスだけでやりたい」っていうのもないですし、ホールでやるというのは自分たちでも楽しかったです。楽しいからこそ、アイディアも出てくると思うんですよ。

――会場が大きくなると、おもしろい演出もできますよね。僕、昔、花道をデコトラみたいに電飾で彩られたドラムセットが移動するライブを見て、衝撃を受けたことがあるんですけど。

鈴鹿 それ、いくらかかるんですか?(笑)。

――わからないです(笑)。では、「SMILE SMILE」の話に戻りましょう。サウンド面に関しては、ホーンが入ったことによって、ファンクっぽいテイストが出ていますよね。

米田 多分、ホーン隊のフレーズがJB(ジェームス・ブラウン)っぽいので、それに引っ張られてる感じもあるかもしれないですけど、この曲はブラックミュージックというよりも……何でしょうね? 昔、L⇔Rというバンドがいたんですけど。

――90年代に活躍した日本のバンドですよね。

米田 はい。あのバンドの曲を偶然聴いて、「こういう感じ、いいなあ」っていうところがあったんです。だからモッズとか、イギリスのロック、白人のグルーヴの曲なのかもしれないですね。

――夜ダンの音楽に反映されているエッセンスって、計り知れないところがありますね。

米田 その都度、時期によって、自分のなかでのブームがあるというか。それが結構入れ替わったりするので。もちろん、ファンクミュージックも好きなんですけど、このタイミングはモッズとかの感じだったのかなと。90年代、30年前くらいの感じを出したいなと思ってました。ほんまのモッズの時代という感じではなく、90年代という、自分たちが生まれて育った時代の感じを出したいというのがあったので。

――憧れがある過去の音楽を、自分たちらしいリアルな形で表現するというのは、ずっと一貫してやってきましたよね?

米田 そうですね。基本的には「好きだったバンドの、あの曲っぽいことをしたい」とか、「あのバンドの音像に近づけたい」とか、自分の過去のアーカイブからピックアップして再現するみたいなところでもって、ずっとやっているような気はしています。そういうのは、生まれた時代が恵まれてるのかもしれないですね。00年代に入ってからiPodとかが流行って、いろんな時代の音楽を手軽に聴けるようになったので、その世代やからこその節操のなさと言いますか。好き勝手やれてるのは、90年代に生まれたからこそなのかもしれないですね。

――そういえば、夜ダンがメジャーデビューしたタイミングのインタビューだったと思うんですけど、 岡村靖幸さんとジョイ・ディヴィジョンに関する話が出て、盛り上がった記憶があります。

米田 ジョイ・ディヴィジョンと岡村靖幸さんって、全然年代も国も違うけど、それを同じ目線で聴けるからこそ、今回の「SMILE SMILE」みたいなこともできたのかもしれないですね。

――夜ダンは、00年代に入った辺りからのロックンロールリバイバルの影響も大きいバンドですけど、あの頃の音楽の核にあったのも、「昔の音楽への憧れを自分たちなりのリアルな形で表現する」っていう姿勢でしたよね。夜の本気ダンスと通ずるものがある気がします。

米田 古いことをもう一度リバイバルするのがかっこいいってことを教えてくれたのが、00年代初頭のバンドなんですよね。ザ・ストロークスとか、まさにそうですけど。

――西田さんも、昔のロックをいろいろ吸収してきたギタリストですよね?

西田 ギターを持ち始めた時とかは、60年代、70年代の音楽、ギターがサウンドを支配してる音楽に影響を受けました。たとえば、レッド・ツェッペリンとかAC/DCとか、オーソドックスなものが、めっちゃ好きやったし。それプラス、00年代のロックンロールリバイバル、ガレージのサウンドとかも聴いて、その系譜も追っていったんですよね。そういうのが楽しくて、僕のなかで核になってるのかなという気がしますね。

――マイケルさんも、吸収してきた様々な要素を反映させる喜びが、夜ダンの活動のなかであるんじゃないですか?

マイケル そうですね。僕はその時に聴いてる音楽から影響を受けてベースのフレーズを考えたりすることが、結構多いのかもしれないですけど。もともとこのバンドのメンバーが共通して好きなところって、ロックンロールリバイバル、ニューウェーブリバイバルの音楽だと思うんですけど。でも、最近はサブスクリプションでいろんな音楽を聴けますし、自分がもともと知らないものに対するハードルって、下がってるような気がしてて。実際、僕もいろいろ聴きながら影響を受けて、ベースフレーズを考えたりしてます。

――鈴鹿さんも、ドラマーとしても、いろいろな要素を吸収してきましたよね?

鈴鹿 もともとは邦楽しか聴いてこなかったんですけど。銀杏BOYZとか、フジファブリックとか。でも、米田がいろいろロックンロールリバイバルのバンドを薦めてくれたりして、自分たちで音楽を作るなかで、そういうもののおもしろさを感じてきたんです。米田が影響を受けてるものを知っていくことで、一緒に楽しめてるって感じですね。

――いろいろなエッセンスを吸収している夜の本気ダンスですが、核になっているのは、グルーヴィーさ、ダンサブルさとだという印象があります。「SMILE SMILE」も、そういう部分が出ている曲だと思いました。

米田 なんだかんだで、リズムが一番大事というか。たとえば、今回の「SMILE SMILE」は、歌ものに近い曲ですけど、でも、その裏にはしっかりとリズム、グルーヴがないと駄目で。そのグルーヴも、せかせかしてなく、ゆったりとした……ゆったりとしているからといってグルーヴがないわけじゃないんですよね。それを今回目指してやっていきました。そういうことが僕らはもともと苦手だったので、速いBPMでやってたところもあったんですけど、いよいよゆったりとしたなかのグルーヴというものに挑戦できるぐらいの感じになってきたのかなと。昔の僕らの曲は、聴いてると心拍数が上がってしまうというか(笑)。

――(笑)活動を重ねるなかで、目指すサウンドにも変化が出てきているんですね。

米田 昔は日常に溶け込むというより、自分の気持ちを上げたい時とかに寄り添う感じやったんですけど、最近はもうちょっと普通に外を散歩してる時とかに聴いてもマッチするような、歩いてる歩幅のグルーヴ、歩く時のスピードのリズム感というか。それに近いようなものも表現できたらいいかなと。日常に溶け込むようなロックというか。「そういうのも魅力的やな」と、30代に入ってから思ったりしますね。昔はギターも「チャカチャカとカッティングをやりまくってなんぼ」みたいな(笑)。しかも速いBPMで。そういうマインドやったんですけど、あんまり最近は、そういうところがないんです。たとえばT.Rexとかを聴いてたりもしていて。あのバンドの音、めちゃめちゃルーズじゃないですか。ルーズでゆったりしてるけど、めっちゃグルーヴィーっていうか。昔はそういうのを退屈に感じてたんですけど、そういうのをかっこいいと感じられるようになりました。



***後編につづく

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