head_logo_pc
head_logo_sp

Grasshopper WEST vol.6/LIVE REPORT公開!

2025.11.12

  • REPORT

若手アーティストを応援するライブ企画「Grasshopper WEST vol.6」 万博の熱を受け継ぐ大阪で、Barbara、CheChe、QOOPIEの音を響かせた一夜をレポート

チケットぴあ注目の次世代音楽シーンを担う若手アーティスト同士によるイベント「Grasshopper」。関西編第6回目となる今回は、万博の熱未だ冷めやらぬ大阪の地、前回に引き続き東心斎橋CONPASSにて開催。実力派のアーティスト達がそれぞれのスタイルで、それぞれの信念を持ち、フロアのオーディエンスと共に踊り、跳ね回る。

◼︎CheChe


本日1組目は2020年結成、東京よりCheChe。メンバー全員が作詞作曲を行い、洋楽も邦楽も呑み込んだニュースタンダードなサウンドを武器に虎視眈々と世界を見据える、期待のホープだ。

1234」とマイクチェックを彷彿とさせるオープニングから幕を開けたのは、ブリットポップライクな「I Love Koenji」。歌メロとリリックに全体的なニヒルさとシニカルさを湛え、それが何とも言えない色気を醸し出す。自己紹介的がてらのこの一曲で彼らのスタンスを明確に示したCheCheは、彼らの世界へとオーディエンスを問答無用で引き込んでいく。


次にVo. Haruhiがスタンドマイクを構え放つのは「Spotlight」。鋭くビートを刻むベースラインが印象的なブリッジと軽快なカッティングが冴え渡るコーラスの対比が印象的な一曲。

しかしHaruhiの圧倒的な存在感には目を見張るばかりである。スタンドマイクを構える姿には時にリアム・ギャラガーが、時にアンソニー・キーディスが彼の姿に重なる。歌っている姿だけで眩しさを放つ彼は、間違いなくロック・スターとしての素質を持っている。



そしてそんなHaruhiに引けを取らぬ存在感を放つメンバーたち。彼らの最新曲「Pie」ではハイテンポでアッパーなサウンドと、インディー・ロックライクなギターフレーズとサイケデリックなサウンドを交互に畳みかけ、オーディエンスを圧倒し、身体を揺らせていく。

続く「ARCH」は一転、暖かく優しいミドルテンポなダンスナンバー。橙色の光の中、Gt. Cho. Dagabaziのコーラスが美しく重なり、CheCheの幅広い音楽性を示していく。メンバー全員が作曲を行うことで、幅広い楽曲を携えている強さがここでも如実に表れている。

西海岸的なブライトなロックサウンドが印象的な「Medium Star」ではフロアからもシンガロングが巻き上がり、よりオーディエンスとの一体感を高めていく。



ここで更にCheCheの沼へとコンパスを引きずり込むような妖艶なベースラインで幕を開ける「Magical Boy」。Haruhiのクラップを煽る姿がイギー・ポップを彷彿とさせる。それに負けじと身を乗り出しプレイする、Gt.ヤマダタツキの渾身のファジーなギターソロにはオーディエンスからも拳が突き上がる。

ラストはマシュー・ヒーリーを幻視するかのような立ち振る舞いのHaruhiが歌い上げる「Prayer」。ダンサブルなビートと、タメの効いたサビのコントラストが心地よく踊らせてくれる。そしてBa.岸本息吹のソロがジリジリとバンドのボルテージを高め、絶頂のギターソロへとバトンを回し、フロアを熱狂に包み、ステージを後にした。


メンバーがステージを後にしてもしばらくの間拍手が止まぬほどに、大阪の地に深く爪痕を残したCheChe。
往年のロックスター達へのリスペクト溢れる立ち振る舞いと、それを自分だけのスタイルに落とし込んでいるHaruhiのカリスマ性。
そしてそんなヴォーカルに引けを取らないメンバー達のスキルフルなパフォーマンス。彼らが世界に見つかるのもそう遠くない未来であろう。




<セットリスト>

01. I Love Koenji
02. Spotlight
03. Wait a minute
04. Pie
05. ARCH
06. Medium Star
07. Magical Boy
08. Prayer


◼︎QOOPIE


2
組目のバンドは2017年結成、愛知よりQOOPIE。ストリートライヴで鍛え抜かれた圧倒的なプレイスキルと、観る者を射止めるすさまじい熱量のパフォーマンスで、新世代のインストゥルメンタル・バンドの中でも頭ひとつ抜けた存在感を放っている。

Little Wing」をS.E.に入場し、「みなさん調子はどうですか?僕たちは調子がいいです。なぜなら大阪が好きだからです。」というGt. Seisuke Watanabeの愛に溢れる熱く爽やかな挨拶から早速ジャムセッションで肩慣らしをし、名刺代わりの一曲「Naked」へと流れるように音を繋いでいく。Ba. Masafumi Tsujiのパンチのあるパーカッシブなベースと、二本のギターが刻むファンキーかつロックなカッティングが渾然一体となり、会場のボルテージを瞬く間に上昇させる。



そして「Naked」の熱狂的なアウトロから間髪入れずに「O.D.D.」へ。完璧なダイナミクスで、楽器で会話をするようにメンバーたちが次々とリフを繋いでいき、キラーフレーズが連鎖的に熱狂の爆発を起こしていく。

興奮は全く冷めることなく、続けてQOOPIE屈指の美メロと緩急のついたファンキーでエモーショナルなビートが映える「MOONLIGHT」へ。Dr. Kino Tomidaのタイトなドラムのフィルとソロが随所でキラリと輝く。
客席からは「どんだけ最高やねん!」「良すぎる!」の声が上がる。


続いてはGt. Kazuki Katoの軽快なカッティングからハードな変拍子までを間断なく放ち続けるナンバー「Alaska」。これほどまでに難解なプレイをしていながら一切のストレスを感じさせず、完全に楽しんでいるのがヒシヒシと伝わってくる。爽快なキメの連続とダンサブルなビートで示すQOOPIE流の「踊り」でフロアを自由自在に踊らせていく。


Watanabeの「なんと素晴らしきみなさま!」という言葉通り、オーディエンスの熱量もピカイチである。続く「スタッフの皆様が情熱あふれる方で、この3組でならグラスホッパーできると。」「ヤバいものを見たと言ってもらえるように演奏します。」というWatanabeの言葉を証明するかのように、ラストは壮大なミドルナンバー「VAN」をプレイ。遥か遠くに見える地平線を音で描くように太く、甘いギターリフが優しく胸を打つ。



クライマックスではリズム隊をはさんで向かい合っての泣きのギターソロバトル。客席からいくつも雄叫びが上がるほどの熱を生み出し、情熱的な30分の幕を下ろした。息を呑むような圧倒的なパフォーマンス。これほどまでに濃密で圧縮された30分は初めてであった。きっとこの場にいた誰もが「ヤバいものを見た!」と心を熱く滾らせたに違いない。

<セットリスト>
01. Jam~Naked
02. O.D.D.
03. MOONLIGHT
04. Alaska
05. VAN


Barbara
本日のトリとなる3組目は、2019年結成、京都よりBarbara。“Vacation Disco”を掲げ、聴く者を解放的な音の逃避行へと連れて行ってくれる彼ら。

「今日はコンパスをディスコに変えにきたので、皆で踊りましょう」というVo. Gt. OKUのクールな挨拶から、ミラーボールが煌めき「Sway」へ。80’sライクなブラスサウンドと煌びやかなシンセサウンドをまぶしたグルーヴィなビートで、フロアを心地良く揺らしていく。


続いての「Lovers」ではBa. ミウラ”char”ケンタロウのタイトなベースラインとGt. Maruのスタッカートの効いたリズミカルなギターが絡み合い、開放的なサビではOKUの伸びやかなファルセットが甘く幻想的な世界へとフロアを誘う。

「平日から色んな踊れるバンドが出て、それを観に踊りに来てくれる人がいて嬉しいです。」
「ここから勢いづけていきます!」という言葉から始まったのは「Coming Out」。アップテンポでファンキーなカッティングでフロアのギアをグッと上げていく。


「知らない曲はテンポに合わせて右左に揺れるだけでも楽しいですよ」という言葉を自ら体現するようにステージの上を楽しそうに跳び回るOKU。
続く「Needle on Vinyl」では一転、ミドルテンポでグルーヴィなサウンドでゆったりとオーディエンスを踊らせる。ここぞのタイミングでMaruがサイケデリックなギターソロを炸裂させ、Barbaraの世界への没入感をより一層高めていく。


フェードインするシンセサイザーのサウンドが魅力的なBarbaraの世界へと手招きをするのは「Focus」。クラップのサウンドが高くなり響き、クライマックスへ向けて更にオーディエンスをトランスさせていく。
そしてBarbaraとのひと時のバカンスもいよいよラストへ。「Run Run Run」ではノイジーなサウンドも顔を覗かせ、クライマックスに相応しいダイナミクス溢れるパフォーマンスを見せた。

しかしまだまだ踊り足りないジャンキーなオーディエンス達。

鳴り止まないアンコールのクラップに応え、再びステージに上がったBarbaraの面々、満を持してBarbara屈指のメッセージ性に溢れる一曲「Motion」をプレイ。“Can’t take it back” “Everything happens to me”というリフレインが「色々あるけど楽しく生きていきたいなという気持ちを共有したいので、明日からも元気にやっていきましょう。」とMCで語ったOKUの言葉と重なり、Barbaraの音で心地よく揺れる今、この瞬間が一層煌めきを放つ。

(今日の共演の)2組が僕らも初めて一緒にやるバンドで、踊らせるって色々あるなと。三者三様で楽しかったんじゃないでしょうか」というOKUの言葉の通り、それぞれのフィールドで活躍するアーティスト達が、CONPASS踊れるフロアで交差した、かけがえのない一日となった。


<セットリスト>

01. Sway
02. Lovers
03. Night Walk
04. Coming Out
05. Needle on Vinyl
06. Focus
07. Deeper
08. Run Run Run
En. Motion


Photo by 桃子
Text by 伊藤博明

 
▲トップへ