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Grasshopper vol.23/LIVE REPORT公開!

2024.06.13

  • REPORT

2024年5月27日(月)に下北沢CLUB Queにて開催された『Grasshopper vol.23』は、月曜日の鬱屈とした空気を吹き飛ばすようなライブだった。
この日、出演したのは3組で、WOLVEs GROOVY、ゴホウビ、宇宙団。ポップでキャッチーな音楽が魅力のアーティストたちが集合した。

■WOLVEs GROOVY


トップバッターはWOLVEs GROOVY(ウルヴズ・グルーヴィー)。既にそれぞれが実力派アーティストとして活躍する2人だ。バンド名には、「一匹オオカミ、グルーブで繋がりたい」  という想いが込められているという。

サポートメンバー(Dr)がSEを鳴らすと、Mashinomi(Gt/Vo  )とアヤコノ(Ba/Vo)が観客の拍手に迎えられながら登場し、アヤコノが観客と目を合わせ大きく頷いた。次の瞬間、『ココロノ氷』でライブが幕を開けた。イントロから息の合ったグルーヴで観客を魅了していく2人。1曲目にして観客は既にノリノリだ。そんな様子に、Mashinomi  はフロアを見渡して微笑む。
『ココロノ氷』が終わると、メンバーは自己紹介や本日食べたものなどの親近感のあるトークでフロアを和やかなムードにし、ライブのスタートを切った。

『しあわせビデオ』は1曲目とは違った不穏でムーディなメロディ。<ぼくタバコは吸わないし 春の香りもちゃんとわかるから だけど自分で自分は見られないから 誰かと居たくなるのです>挑発的な様子で歌うMashinomiと、<僕の瞳にうつるのは今の街 光っているの 光っているの>台詞みたいなアヤコノのパートで、よりグッと世界観に惹き込まれる。

鼻歌が印象的なSEがかかると、Mashinomi  がギターを置き、シンセサイザーに移動する。『左右盲』では、メロウなメロディに2人のウィスパーボイスが会場に響く。聴き入る観客たちの様子はまるで回想劇を観ているかのように哀愁に包まれていた。

MCの「夜景を見るのが好き」という話から、流れるように『star gazer』が始まる。サビで一気にアップテンポになり、それを起因として観客が緩やかに踊りだす。その様子が目に焼き付いた。

今度は口笛のようなSEがかかる。再びギターを手にするMashinomi  。その間、アヤコノがSEに合わせ、自由に踊っていた。
歪んだギターとベース音のアンサンブルが耳心地良い『BUG』では、心から憎らしそうに歌唱する。2人の表現の引き出しの多さに圧巻する。

<おつかれーってかんじ だりーんだよマジ>少し気怠げな『spicy boy』の世界観は、アヤコノのやんちゃさがより一層光っていた。

ラストソング<早くナイナイしようね 空へバイバイthorough away>というリリックが秀逸な『お洒落じゃないから』をマットな質感で歌い上げる2人に、心酔するフロア。

演奏が終わり「ありがとう!最後まで楽しんで〜!」
そう言うと、2人は舞台袖にはけていった。


<セットリスト>
1.ココロノ氷
2.しあわせビデオ
3.左右盲
4.star gazer
5.BUG
6.spicy boy
7.noplease
8.お洒落じゃないから


■ゴホウビ

パレード感溢れる陽気なSEが流れる。自らのことを「自己肯定形ポップバンド」と名乗るだけあり、 登場したメンバーは明るいオーラに包まれていた。

『ラブ≠∞』で幕を開けると、キャッチーなハーモニーで観客の心を鷲掴みにする。
cody(Vo/Gt)が 「こんばんはゴホウビです!Grasshopper、楽しんでいきましょう!」楽しそうに手拍子をしフロアを煽る。手拍子が増えた事を確認すると、codyが観客を指差して強く頷く。更に笑顔になる観客。一瞬にして笑みが溢れる空間が出来上がった。

スージー(Vo/Key)の歌い出しが印象的な『ゴキゲンなLOVER』で更に拍手の量が増加。<とりあえず生ビール「一丁!」>観客とメンバーが一緒になって声を上げると、むんちゃ(Dr/Cho)が嬉しそうに、はにかんだ。

メンバーの推し曲である『ラブシャッフル』では 、codyとスージーの掛け合いが印象的で、体中にハッピーなグルーヴが駆け巡る。

『ラブシャッフル』が終わると間髪入れずにバスドラが刻まれ、歓声と手拍子が湧き上がった。「下北沢CLUB Que!Grasshopper!メチャクチャ良い感じじゃないですか?楽しんでますか?」とcodyがフロアに問いかけると、歓声が大きくなる。
「もっともっと皆で一緒に熱くなっていけませんか?いけますか?俺たちと一緒に踊ってみましょう!皆ハンズアップ!」「脇見せ選手権というのをやってまして、どれだけ脇が見えるかを各地で争ってるんですね?今日はここが1番になって欲しい。下北沢CLUB Queいけますか!」codyとスージーが観客をより煽り、『ラムネ』の演奏が開始される。ラスサビになると、「いきますよー!」codyが前に出て、上手と下手を往復し、隅々まで観客の様子を見渡す。左右に両手を上げる観客。その様子にメンバーは嬉しそうだ。「脇見せ選手権、第一位!下北沢CLUB Que!おめでとう!!」スージーが叫ぶ。

続いて『NO RAIN, NO RAINBOW』、405(Ba)の秀逸なベースラインから、サビのスージーの高らかな歌唱。そして雲の隙間から虹の光が差し込んでいるかのような煌めく照明。全てがマッチし、とても幻想的な空間だった。

「今日始めてゴホウビを観る人どれくらいいますか?」とスージーが質問すると、観客の約3分の1が手を挙げ た。「みんな音楽がホンマに好きなんじゃな〜!嬉しいね!」とcody。きっとそれは彼らも同じだろう。
「心がしんどくなったとき、またライブに遊びに来て下さい!」そう締めくくると、『好きな服』が始まる。<心に嘘つくのかい>胸に拳を当て、声がかすれながらも、振り絞るように歌うcody。その懸命な様子に感銘を受け、涙している観客がいた。

ラストソング『好きな服』の「ありがとう!ゴホウビでした!」
ステージの中心でcodyがお辞儀をすると、
スージーが彼の背中をポンッと優しくたたいた 。

<セットリスト>
1.ラブ≠∞
2.ゴキゲンなLOVER
3.ラブシャッフル
4.ラムネ
5.NO RAIN, NO RAINBOW
6.好きな服

■宇宙団

トリは宇宙団。この日は高のしま(Ba)の参加が難しく、前任Baのカワノアキがサポートとして3年半ぶり に参加となった。

1曲目から『恋は宇宙』とフルスロットルな選曲で、会場を宇宙団ワールドに染め上げる。<どっかーん!>歌詞に合わせ観客が拳を掲げる様子は、まるでロケットが飛び立つ瞬間みたいだった。 

もちづき(Vo/Gt)の元気溢れる「宜しくお願いしまーす!」の挨拶を合図にし、関口マドレーヌ(Key)の演奏を筆頭にエレクトロニックマシマシの『スッテハイテ』のイントロが鳴り響く。<スーハー スーハー スーハー>爽快感ある歌唱と、コンノ(Gt/Vo) によるギターソロで、会場のボルテージがMAXに上がり、静かに観ていた観客は突然 、両手を上げて踊り出す。

「『文明鎮座』」 もちづきの台詞と共に赤い照明が輝く。サビになると観客たちは前に大きく詰めた。その様子にメンバーたちも喜々としている。徐々に激しくなるツチ丸(Dr)の演奏。曲が終わると雄叫びがフロアから聞こえた。

「宇宙団です!遅い時間までありがとうございます!銭湯の曲をやります!」
『銭湯 』という曲名に合わせ、湯気に見立てたスモークが充満する。銭湯のルールをテーマにした歌詞に「かぽーん」という音、どことなく昭和歌謡感あるメロディで、会場は一瞬で銭湯そのものに様変わりした。

盛り上がる楽曲から一転、しっとりとした『エンドロール』は、まるで子守唄のよう。観客たちは静かに、深く頷きながら耳を傾けていた。

<いつかは いつかは いつかは来るのか 来ないのか 自分次第だ!>という歌詞が胸に突き刺さる『いつかは』では、<でもしんどいことはやりたくない! できれば毎日寝ていたい!>目を見開き感情むき出しで歌うコンノ。その姿に感化され、スーツを着ている仕事帰りの観客たちが、額に汗を滲ませながら一緒に歌っていた。

「人との繋がり、皆さんとの繋がりもそうだし、メンバーとの繋がりもそうだし、本当にこの『宇宙団』っていうバンドは本当、人生だなって。人生通してやってるバンドなんだなって。」MCでもちづきが感謝を述べ終えると、カウントが刻まれる。
テクノ感溢れるイントロがどことなく特撮ソングを感じる『FU-RE-FU-RE』が始まると、メンバーは揃って左右に揺れ始める。それを真似する観客たち。その様子は非現実感に溢れ、今このときは、現実を忘れ音楽に没頭しても良いんだと思わされた。

演奏が終わるとメンバーが「みんなありがとう!」と言い、去っていく。すぐにアンコールを求める拍手が巻き起こる。

時刻は21時25分。ステージへ再び現れるメンバーたち。「こんな遅い時間までありがとう!」観客へ感謝を述べると、もちづきがアルペジオを弾く。それを合図に全パートの音が鳴り出す。アンコールは『ユートピア』だ。希望に満ちたメロディに観客が弾けたような笑顔になった。

「ありがとうございましたー!」
ぺこっとお辞儀をし、メンバーが舞台をはけ、
『Grasshopper vol.23』は幕を閉じた。



<セットリスト>
1.恋は宇宙
2.スッテハイテ
3.文明鎮座
4.銭湯 
5.エンドロール
6.いつかは
7.FU-RE-FU-RE
en.ユートピア


スーツ姿の観客が多かった本公演。きっと会社帰りであろう彼らが両腕を掲げ、歓声を上げ、メロディに身を委ねている様子は、音楽が人々に与えるパワーの偉大さを証明していた。
 
次回の『Grasshopper vol.24』 は、7月22日(月)に下北沢Flowers Loftで開催が決定しており、SPRINGMAN、かりんちょ落書き、弁天ランドが出演する。
また関西圏では、6月24日(月)に梅田Zeelaで『Grasshopper WEST vol.3』 が開催予定だ。「ライブシーン×クラブシーン」をテーマにブッキングした、aryy、Cwondo、NEWLYの3組が集結する。

若手アーティストが魅せる 音楽を、空間を、瞬間を、
これを読んでいるあなたにも、ぜひ体験してもらいたい。


Photo by マチダナオ(https://x.com/shespool)
Text by おはた(https://x.com/_mogu_hata_)

 
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