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Grasshopper vol.19/LIVE REPORT公開!

2024.01.15

  • REPORT

2023年12月18日(月)、下北沢Daisy Barにて、年内ラストのGrasshopper vol.19が行われた。amanojac、1-SHINE、エゾシカグルメクラブの3組のバンドが集結した。三者三様の音楽を奏でる3バンドが起こす化学反応に目が離せない夜となった。

amanojac

バスドラムに合わせて手拍子が起こった。ギター、ベース、ドラムそれぞれの見せ場が曲頭から炸裂する『生活』。各々の個性が溢れるツインボーカルの掛け合いとリズムの変化やギターリフなど、工夫が凝らされた一曲だ。『皐月』はアップテンポで駆け抜けるような音楽が、ネガティブな感情を拭い去るようだった。そのままドラムが繋ぐ『カゲロウ』では、ギターの柔らかい音が金物のザワザワしたノイズや重苦しいベースの歪みに対して優しく浮き上がる。桐山郁弥(Ba/Vo)の力強い声が核となって、聞く人の心に訴えかける歌となった。

 
前半戦が「剛」のセトリだとすると、中盤戦は「柔」といえる、『youth』から始まった。オオタケショウ(Gt/Vo)の歌声は会場を優しく包み込み、桐山のコーラスも雰囲気を変える。続く『夢で逢わせて』もバラードでバンドの持ち味である歌を聴かせる。綺麗なハーモニーで穏やかな気持ちにさせてくれた。広がりを持つ轟音が響き渡る会場で、頷きながら聞く観客の姿があった。
 


9月のサーキット企画『Jump Higher』に出演したamanojacが、今回ついにGrasshopperに出演することになった。彼らは名古屋の新栄を背負って歌いにきたという。最後の一曲は『海が見えなくても』。想いにあふれたどこまでも真摯なライブに手が上がった。彼らはこの日一番のエモーショナルな音楽を聴かせてくれた。





1-SHINE

 登場した瞬間から歓声、悲鳴、叫びが飛び交う。一曲目『BAD BOY』で会場を一気に1-SHINEのテリトリーにした。ロックバンドという冠をつけながら、その中身はロックだけではなくHIPHOPやミクスチャー系の雰囲気も入り混じる。ど真ん中ギターロックバンドとは一線を画す、音楽の表現、音楽の楽しみ方に興奮が掻き立てられた。『Say It To My Face』でも常に歓声は止まらない。メロディとラップ、日本語詞と英語詞が入り混じるスタイルはGrasshopper企画に強烈な新鮮さをもたらしていた。
 

少しクールダウンして、『A Thousand Tears』。歌詞の一言一言のリズム感、繰り返される演奏のシンプルさに、自然と体が音楽にノり出す。続く『One Last Girl』、『Alive』で、ツインボーカルのステージング、観客への煽りで会場のボルテージは上がっていく。イントロの一音目で次に演奏される曲を察知した観客は大歓声を上げる。『Crush on You』だ。ステージで楽しそうにジャンプするメンバーに釣られて、フロアの観客も飛び跳ねた。興奮を煽る解放的な音楽に会場は大きく盛り上がり、至る所から「最高!」という声が漏れ出していた。
 

終盤戦は『TOKYO』から始まる。イントロから手拍子が起こりボルテージはさらに上がる。溢れ出す感情を惜しみなく表現するための時間が音楽の中に設けられ、人々のジャンプはどんどんと高くなっていく。最後の曲は、ざわつくギターのノイズとラップ、ロックとHIPHOPが気持ちよく融合した『2020』。そこには彼らの世界観が広がっていた。1-SHINEの音楽は観客の心を解放し、それぞれの楽しみ方を許容してくれた。
 
 






エゾシカグルメクラブ

 夜の街に密かに流れるシティポップのような『エスパー』から、エゾシカグルメのライブはスタートする。朦朧としたシンセサイザーの音がバンドの裏で流れ、メロウな音楽を編み出していた。続く『最強のおふたり』では、柔らかい雰囲気はそのままに、明るく跳ねるようなリズムでハッピーな気分を催す。サポートメンバーの結婚に際して制作したウエディング・ソングだという。池沢英(Vo/Gt/Key)の楽しそうな歌声が幸せな空気を作り出していた。

 
『スカート』は滑らかに流れていく音楽が、タイトルにもある「スカート」を靡かせる柔らかい風を連想させる。気持ちの良い音楽が観客の心を安らげた。エゾシカグルメクラブの作るサウンドが会場に徐々に広がり会場全体を包んでいく。聴く人を誘惑しようとするその音に感覚を持っていかれそうになりながら『紫煙』を聴く。軽やかなベースのスラップ音が輪郭を持って、グルーブ感を作り上げた。観客の体は揺れ始め、手も上がっていた。
 
 

 歓声を浴びたステージが次に見せるのは『おいッ!』。サビのキャッチーな言葉に釣られて口ずさむ。勢いで飛び出したアップテンポなこの曲で、のびのびとしたギターソロが炸裂する。ドラムもパワー溢れるプレイを見せた。最後を飾るのは『赤い』。明るいながらもどこかエモーショナルなメロディとコードに胸がぐっとあたたかくなった。アンコールには『昨日の月にさまよえば』を。観客の姿勢が前のめりになり、エゾシカグルメクラブの音楽に心を動かされているのが伺えた。こだわりの詰まった彼らのバンドサウンドに聴き惚れた一夜だった。
 


Text by らいれいな

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