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Grasshopper vol.16/LIVE REPORT公開!

2023.09.04

  • REPORT

2023821日(月)、下北沢Daisy BarにてGrasshopper vol.15が行われた。出演したのはライティライト、アスノポラリス、藍色アポロの3組。それぞれタイプは違うが、どれも爽やかで青春感が漂うバンドたちだった。

 

ライティライト

 ポップな入場SEが、ワクワク感を募らせる。はじめの一曲は『君とエスパー』。今年3月にリリースしたこの曲は、疾走感に溢れており、フロアのテンションをあげる一曲目として最適だ。豪快に響くドラムとクセになるはう(Vo/Gt)の歌声が印象的なライブの出だしだった。『コールドスリープ』は少し切ないバラードで、緩急をつける。今日のライブは、私が見たライティライトの初ライブよりも、ステージも演奏自体も大きく成長しているのが良くわかった。彼らはバンドとして飛躍するため、一生懸命に成長を続けているように思える。そういう若手バンドだからこそ、このGrasshopperにとってもグッドアクトだ。

 

 『夢中』では最初の弾き語りからフロアの手が上がる。4人で歌うキャッチーなサビにふと一緒に口ずさんでしまう。軽快でスピード感あふれるドラムから始まる『私小説』は、軽率にテンションが上がる。フロアではサビで多くの人が拳を突き上げていた。ギターソロの存在感が大きいこの曲では、サポートとして控えめに弾いていた飯村(Gt)が、ステージ前に出てしっかりと魅せた。

 


「こういう素敵な日に恥じないバンドにどんどん僕らなっていきたいと思っています。」と真面目な思いを吐露する。『ある春の日』では、ギターのブリッジミュートに合わせて、観客の手拍子が鳴り出す。淡い恋愛の記憶を綴った歌だ。転調に合わせて観客の拳が上がり、ラストに向けてギアを上げていく。最後の一曲は『メタ』。シンバルの全力4カウントから、ラストにぴったりの勢いある曲が始まった。音圧に負けない、はうの大きくて通る声が響き渡った。しっかりと深くお辞儀をした彼らに、大きな拍手が送られた。

 

アスノポラリス

 4人がドラムのもとに集まり、円陣を組む。真っ赤なTシャツが映える落岩勇弥(Vo/Gt)が「初めましてDaisyBar!広島からアスノポラリスです、よろしくお願いしまーす!!」と元気よく呼びかける。メンバーと観客全員で「1!2!3!4!」と声を揃えて叫ぶと、一曲目『ささくれ』が始まった。どこかレトロで暖かい雰囲気を醸し出す音楽と、全員でシンガロングをする明るく楽しそうな雰囲気が共存した、最強のステージに早速魅入ってしまった。続く『言えない』でも、そんな彼らの特徴が抜群に表れていて心が温かくなる。笑顔を絶やさないステージに大きな安心感を抱いた。




 テンポがグンと上がって『退屈』が始まる。待ってました、と言いたげに飛び跳ねて喜ぶ人、手を上げて嬉しがる人もいた。『ボーイズ&ガールズ』
では、「みんな歌ってくれー!」と、フロアによく訴えかける。こうしたささやかなファンとのコミュニケーションをいつでも忘れない、彼らの人間力の高さをライブから感じ取った。安心感に包まれた観客は自由にリズムに乗って揺れた。「理不尽な青春を受け入れてここに立っている!」と叫んで『都合がいいな青春』が始める。疾走感のある音楽となりふり構わず全力で叫ぶ様子に、青春の爽やかさと青臭さを同時に感じた。

 

 ライブは少し落ち着いて、『銀木犀』が始まる。リバーブがかかった優しい音でアルペジオを響かせる。4人が組み合わさると音楽は突如力強いものに変貌した。落岩は丁寧な歌声を届けた。「愛してくれてありがとうございます。」と話して、最後は『だんだん』を。初めから手が上がり、サビでは迫力ある音にさらに多くの拳が突き上がる。お腹から出す渾身の歌声から大きなパワーを受け取った。落岩の歌い続けるという意志の強さが真っ直ぐに届いたライブだった。

 

藍色アポロ


 ギターの耳に刺激的な金属音が高らかに響く。その始まりの合図から『ペダル』が始まる。イントロから、コードの移り方に藍色アポロらしさを強く感じた。彼らのライブが始まると心を躍らせ。『一時休戦』はキレッキレな演奏でかっこよさが引き立つ。どこかクールで爽やかな空気感を保ちながらも、熱量も高く伝わってくるのが藍色アポロの音楽だ。他にはない、唯一無二の特徴であるように思う。

 

 ディレイで複数に重なるリフから『その白さ』が始まる。メロに関してももちろんだが、繰り返されるギターリフも少しずつクセになっていく。続くのは、ナガイレンVo/Gt)が初めてこの街に来てからの経験を綴った曲だという『生活』。最初のブリッジミュートに合わせて頷きながら音楽をきく。ゆったりとした曲調に、懐かしさや哀愁が漂う。ナガイは言葉一つ一つをはっきりと届けるように歌った。

 

 「一番まっすぐな曲やります!いくぞ下北!」とナガイが声をかけて、フロアの熱量が再び上がる。ついに『カゲロウ37℃』だ、とピースを掲げる人を見かけた。彼らの音楽が支持されていることを改めて認識し、嬉しい気持ちが溢れ出す。曲が終わるとキレッキレなドラムの繋ぎの間にストロボが焚かれ、捲し立てるように『限界高速』が始まった。赤く染まるステージが最後に大きな興奮を掻き立てる。ナガイがステージの前に出て、フロアの奥を眺め、観客に向かって笑顔で手を振った。

 

アンコールでは『Sketch』を。あまりに爽やかで疾走感あふれる楽曲に、彼らがトリとしてしっかりとイベントの主人公枠を掻っ攫っていったような感覚を覚えた。


Text by らいれいな
Photo by 清水舞

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