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CATCH EYE

My Hair is Bad

2026.09.01

  • CATCH EYE

INTERVIEW

書き方としては大人になっているのかな

text:吉羽さおり photo:福井麻衣子 
editor:武内和子(ぴあ)/幡野美和子(ぴあ)/中村紀子(ぴあ)
hair & make:桑原美恵

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9月9日に7枚目のアルバム『cats』をリリースする、My Hair is Bad。
このアルバムでは、バンドの柱とも言えるラブソングに改めて向き合ったと言う。
「自分にしかできない言葉選びでラブソングに向き合えば、
マイヘアらしさは絶対に残るし。さらに音像で新しくしていけたら、
もう一歩先に進めるんじゃないかと思った」(椎木)
その思いで書き上げた曲たちを収録したアルバムには、生々しい感情よりも、
甘美な記憶や哀愁という、琴線に触れる大人の曲も増えた。
「今回は相手のせいにした曲は1曲もなかったなと思っていますね。
そういう意味で、書き方としては大人になっているのかな」(椎木)
今年はメジャー・デビュー10周年。
積み重ねてきた時間の濃さを証明したアルバムを携え、
9月よりバンド史上最大規模となる全国アリーナ公演を含むツアーに挑む3人に訊く。


 前作『ghosts』から約2年ぶりとなる、My Hair is Badの7thフル・アルバム『cats』が完成した。松田龍平主演のドラマ「探偵さん、リュック開いてますよ」への書き下ろし曲「ここで暮らしてるよ」でMy Hair is Badの変化を感じた人もいたのではないだろうか。ソングライター・椎木知仁は、「こういうあったかい曲は、意外とMy Hair is Badには多くないので、どう聴いてもらえるのかドキドキしましたね。この曲あたりからアルバムの片鱗を見せていた」と語る。エネルギーが迸るヒリヒリとした3ピースとも違う、時の流れを変えるような牧歌的なトランペットの音色、ゆったりと、かつ高揚感を持ったバンドアンサンブル、多重コーラスで日々をたたえるように響く歌は、バンドの新たなアンセムとなった。そしてここでの試みは、最新アルバム『cats』へと続いていく。
「2年前にアルバムを出して、My Hair is Badらしいこと、3人でできることはやりきった気持ちだったんです。今回はプロデューサーとして秀吉というバンドをやっている柿澤秀吉さんに入ってもらって、4人で意見を出し合いながらの制作で。この制作で新しく覚えたコードも数え切れないくらいあって、いろんなアプローチの仕方も教わって。そういう制作がすごく楽しかったんですよね」(椎木)
 柿澤秀吉のバンドも3ピースであり、10年来の仲という信頼感もある。試行錯誤すらも楽しめた時間が、熱量の高いロック・サウンドでいて、ウェルメイドなポップミュージックでもあるというアルバムへと仕立て上げた。
「秀吉さんがいろんな発想をくれたりもするし、今回は僕も客観的に曲を見ることができたので、アイデアも浮かびやすくて。いろいろな曲をやったあとに、『ごめん、やっぱり今夜作り直す!』みたいなことも結構ありました」(椎木)
「それぞれが、チャレンジできたと思いますね。僕のベースにしても、自分らしさを全開にした曲もあれば、ギターや歌に寄り添った曲、リズムの根底となるような支えるベースもあれば、飛び道具的なベースもあったりと、柔軟に取り組むことでそれぞれの曲ができたのかなと思っています」(山本)

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 My Hair is Badといえば、「真赤」や「運命」「恋人ができたんだ」など、赤裸々なラブソングが人気だ。メジャー・デビュー10周年にリリースとなる今作『cats』では、改めてこのラブソングに向き合った。「自分にしかできない言葉選びでラブソングに向き合えば、マイヘアらしさは絶対に残るし。さらに音像で新しくしていけたら、もう一歩先に進めるんじゃないかと思った」(椎木)──その思いで書いた曲たちはリスナーの目の前に鮮明な光景や香りを蘇らせる歌となったが、生々しい感情よりも甘美な記憶や哀愁という、琴線に触れる大人の曲も増えた。
「僕が今まで書いてきたラブソングは、大体『相手が悪いんだ!』って、『僕はこんなに痛いのに』って、悲劇のヒロインになるような曲が多かったんですけど。今回は相手のせいにした曲は1曲もなかったなと思っていますね。そういう意味で、書き方としては大人になっているのかな」(椎木)
「年齢を重ねてきた感じは、やっぱり楽器もそうですけど、歌詞やメロディとかからも感じるようになってきましたね」(山田)
 椎木が、「若い頃に書いていたら、もっとデタラメになっていたかも」と語る「青いソファの上で」は、大人だからこそのドキマギ感がピュアで甘酸っぱい。
「テーマは精神的に童貞な男の子。年齢も重ねていって、もう恋愛なんてできないなとか、恋愛を忘れた頃の出会いが"恋愛"というものをいちばん思い出させた、みたいな曲ですね」(椎木)
 マイヘアらしいシンプルなギター・サウンドでありながらも、ディテールを積み重ねた繊細さが揺れる心を映す。また、「パスタに涙」でも、メロディアスで遊び心のあるパワーポップがセンチメンタルな思いを軽やかに彩る。
「Aメロのベースは椎木が作ってきたものだったんですが、あの感じが良かったので、これは手を加えずこのまま弾こうという感じで。それが2Aではサウンドの雰囲気がちょっと変わってリズミカルになるので、いろいろ考えたりしておもしろかったですね」(山本)

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 バラードでありながら、オルタナなギターの重奏感がたまらない「ダイヤモンド」や、歪みがローブローのように効いてくるダークな「hell see.」、かと思うとギャルが降臨した「Maybeうちら無敵ぢゃん」など、次々と飛び出す曲は幅広い。そして亀田誠治がアレンジャーとして参加し、3ピース・サウンドを極めた「愛着」を経て、アルバムのエンドロールとなるのが、ポエトリー的な歌でボルテージを上げる「闘いは美しい」だ。
「バンドがメジャー・デビューして10年、結成して18年で。ずっと負けたくないし、でも年がら年中負けないぞと思っているのはつらいなとか、どこかで息を抜かなきゃとか思いつつ、これがいつまで続くんだろうとか。これだけの人を巻き込んで、終わりはどうするんだ? とか。いろいろ考えたときに、どれだけ暗くなってもいいからいろいろ書いてみようと思って書いてみた曲です」(椎木)
 今年、彼らはメジャー・デビュー10周年。収録曲「飛んでけ!タイムマシン!」に因み、10年前の自分に言ってあげられることは? と問うと、こう答えてくれた。
「当時は客観的に自分のことを見ても長くメジャーでやれると思えなくて。とにかく2年がんばろうと飛び級をせずやってきて。だから『大丈夫だよ』としか言えないですね。『そんなにピリピリしないで大丈夫だよ』と言ってあげたいけど、ピリピリしていたおかげで今の自分もあるのかな」(椎木)
 その"飛び級"をせずに積み重ねてきた時間の濃さは、最新アルバム『cats』が証明している。
「このタイミングで、それぞれが自分にとって誇りになるアルバムができたことは良かったんじゃないのかなって思います」(山田)
 アルバムを引っさげた、自身最大規模となる全国ツアーは、各地のライブハウスをまわり、アリーナ・ツアーへと続く。これもまた挑戦だが、ソリッドな3ピースで魅せる姿勢は変わらない。
「15、16歳で出会って、今年35になったんですけど。今、とりあえず40まで本気で走ってみようっていう気持ちでいて。とにかく目の前のことを全力でやるぞっていう気持ちはあります」(椎木)

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PROFILE

まい・へあー・いず・ばっど
椎木知仁(vo&g)、山本大樹(b)、山田淳(ds)。'08年、結成。'16年、メジャー・デビュー。日常や恋愛のリアルをストレートに描いた歌詞観や、圧倒的なライブ・パフォーマンスで若い世代を中心に熱い支持を得ている。本年9月9日、7thフル・アルバム『cats』を発表。9月より自身最大規模となる全国ツアーを開催する。
アルバム

ALBUM『cats』
9月9日(水)発売
5500円(税込) UPCH-29514[Photobook付初回限定盤]
3300円(税込) UPCH-20727[通常盤]
EMI Records
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