indigo la End
2026.07.01
- CATCH EYE
僕らは僕らなりにいい曲を作るしかない
結局、シンプルなことなんですよね
text:吉羽さおり photo:福井麻衣子
editor:武内和子(ぴあ)/幡野美和子(ぴあ)
hair & make:丸山もい stylist:MIKI TOYOKAWA

今年2月、ソニー・ミュージックレーベルズ内に川谷絵音が立ち上げた
新レーベルDaphnis recordsへの所属となったindigo la Endが
6月24日に待望の最新アルバム『満ちた紫』をリリースした。
「環境によって自ずと作る曲も変わってきたりする。新しい環境に来たことで、
今までとは違う感じの曲ができた」と川谷が語る最新アルバムは
4人の音楽的な裾野の広さを感じさせる多彩なサウンドや、
ポップ性の高い洗練されたアレンジで聴かせる作品となった。
「いつもアルバムのインタビューではマイナスなことだけ喋って終わったり(笑)。
アルバム取材を受ける段階ですでにアルバムに飽きていたりするんですけど、
今回はそうでもないなというか。
いつもよりさらに長く聴けるアルバムじゃないかなと思います」(川谷)
現在、全国20ヵ所をまわるツアーを開催中の4人に最新アルバムについて訊いた。
今年2月、ソニー・ミュージックレーベルズ内に川谷絵音が立ち上げた新レーベルDaphnis recordsへの所属となった、indigo la End。新天地でリリースされたニュー・アルバム『満ちた紫』について曲を手掛ける川谷は「環境によって、自ずと作る曲も変わってきたりする。新しい環境に来たことで、今までとは違う感じの曲ができた」と語る。移籍第1弾で配信リリースとなった「カグラ」でまず、その違いを感じ取った人も多かったのではないだろうか。マイナー調ではあるが、コード感の妙やひと癖ふた癖あるアレンジが、スピード感やキャッチーさを生む「カグラ」。クールでドライブ感のあるオルタナ・サウンドに、ポップな遊びが冴える曲だ。狙いがあってというよりは、川谷曰く「単純に最初に歌を思いついたのがこの曲だったから、スケジュール的に第1弾になった」そうだが、今までにやっていないことをやろうという思いはあったと言う。
「indigo la Endでは生の弦楽器を入れることが多いんですが、今回はアルバムも含め一切入れていないんです。全部バンドでやろうという感じだったというか。「カグラ」は、制作のなかでバンド感が強い曲をもうちょっと作りたいなと思ってできた感じでした。結構新鮮な曲ではあるんですけど、何年か経ったら、すごくインディゴっぽかったよねって言われる曲になるのかなと思います」(川谷)
「僕としては、こういう速い曲のアレンジは挑戦ではあったんです。でも、アルバムで通して聴いたときにフックになっていて。いい感じになったなと思います」(長田)

アルバム『満ちた紫』は、4人の音楽的な裾野の広さを感じさせる多彩なサウンドや、ポップ性の高い洗練されたアレンジで聴かせる作品となった。と同時に、そこからみずみずしく立ち上がってくるのは、アンサンブルの迫力や4人の呼吸感といった今の"バンド"の姿でもある。気負わない空気感や佇まいがグルーヴとなって、アルバムを貫く。まずその軽やかな風を感じるのが、1曲目「夏目」。
「この曲から、曲作りを始めた気がします。シンプルな曲を作ろうというか、USインディとか、そういう空気感で作れたらいいなというのは、ありましたね。前作の『MOLTING AND DANCING』では割と考え過ぎたところがあって、全曲BPMを変えようとか、ガワからいろいろ変えていこうとしていた部分があったので。そうじゃなくて、突き抜けてメロディが良くてシンプルな曲を作ろうと思い、始まった曲でしたね」(川谷)
アップテンポなサウンドとともに、言葉や気持ちが聴き手にどっと流れ込んでくるような先行配信曲「ワールプール」、また繊細なギターと歌謡曲的なメロディが紡ぐ歌心に、ダンスミュージックの要素が合わさった「私の癖を許して」、そしてラップパートや各楽器のパートなど尖った要素を持ちながら大人の哀愁を醸す「陽炎」などシンプルだが拘り抜いた曲が並ぶ。美しいノクターン「Flâner la nuit」に続く「恋の底」はその真骨頂で、悲しくも、美しく甘美な余韻をもたらす。
「制作の後半に作った曲で、アルバムにバラードっぽい曲がないねというのが始まりでしたね。「私の癖を許して」もバラードっぽいけれど、ちょっとトリッキーな部分があったので。それよりもっとストレートでコード数も少ない感じの曲を、と思って」(川谷)
「この曲もそうですけど、今回のアルバムは全部通してラスサビがすごくいいなと思っていて。段階を踏んで展開が進んでいく曲がたくさんあるので、聴く人は1サビとかでやめずに、最後まで聴いてほしいなと思いますね」(後鳥)
グッドメロディもさることながら、「恋の底」を含めアウトロでバーストする饒舌な演奏が映える曲が多いのもポイントなので、各曲じっくり堪能してほしい。また、「ライブを意識して作るのはあまり好きじゃないけど、これはライブが浮かんだ」(川谷)と言うのが「ジグザグタカタカニー」。なぜだか口にしたくなる呪文のようなタイトルは川谷による造語。歪でいて、グルーヴィーなこの言葉が、そのまま曲になったような不思議な魅力にあふれる。

「今回のアルバムの曲は、全体的にセッション性が高いんですけど、この曲は『ライブでこういう雰囲気でやったらいいよね』という話があったので、セッション性がある録り方をしていますね。エディットとかも考えないようにしたというか」(佐藤)
「僕はカッティングが苦手なんですけど。ライブでやっていくうちにグルーヴ感もまた音源とは違うものになっていくと思うので。それはそれで、聴いているうちにおもしろいなと思ってもらえるようになっていくはずなので、ぜひライブで聴いてほしい」(長田)
バンドとしては、今年1月の日本武道館2DAYS公演で15周年を締め括り、結成16年目を迎えた。これまでにアリーナ公演や海外でのライブも行っているが「世の中のほとんどの人はindigo la Endのことを知らないと思うんです。卑下するわけではなく、そこを広げるのってすごく難しいなと思っていて」と、川谷はバンドの現在地について冷静に語る。
「16年やってきて、音楽業界の裏側もわかったので。ビジネス的に音楽をやる意味があまりないから、僕らは僕らなりにいい曲を作るしかない。結局、シンプルなことなんですよね」(川谷)
1月7日に開催された、リスペクトするART-SCHOOLとTHE NOVEMBERSとのスリーマンや、インディーズ時代からの戦友the cabsとの対バンでもフィードバックがあった。確固たる軸と実験性とを持つバンドとの共演で、自ずと、より自由でクリエイティブな空気が生成されていった。健康的にしなやかに進化/深化を続けている。それが今のindigo la Endだ。
「いつもアルバムのインタビューではマイナスなことだけ喋って終わったり(笑)。アルバム取材を受ける段階ですでにアルバムに飽きていたりするんですけど、今回はそうでもないなというか。いつもよりさらに長く聴けるアルバムじゃないかなと思います」(川谷)
全国20ヵ所を巡るツアー「紫にて」でも、アルバム『満ちた紫』と今のバンドを楽しんでほしい。
「長いツアーなので、後半のほうで僕らが飽きてしまわないか不安ですけど。ふわふわしないように、グッと集中していきたい」(長田)
「あとは何より健康でツアーを完走したいと思っています」(後鳥)

PROFILE
- いんでぃご・ら・えんど
- 川谷絵音(vo&g)、長田カーティス(g)、後鳥亮介(b)、佐藤栄太郎(ds)。'10年、結成。'15年より現体制に。本年2月に川谷がソニー・ミュージックレーベルズ内に立ち上げた新レーベルDaphnis recordsに移籍し、6月24日に9枚目のアルバム『満ちた紫』をリリース。現在、5月よりスタートした全国ツアーを開催中。
ALBUM『満ちた紫』 発売中
11000円(税込) VVCL-2906/7[GOODS+PHOTOBOOK付完全生産限定盤]
7150円(税込) VVCL-2908/9[BD+PHOTOBOOK付初回生産限定盤A]
7150円(税込) VVCL-2910/1[DVD+PHOTOBOOK付初回生産限定盤B]
3850円(税込) VVCL-2912[通常盤]
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