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クリープハイプ

2026.06.01

  • CATCH EYE

INTERVIEW

細かいことを気にしていないというか。
好きで聴いてくれている方にだけ届けばいいというか。

text:吉羽さおり photo:福井麻衣子 
editor:武内和子(ぴあ)/幡野美和子(ぴあ) 
hair & make:マキノナツホ stylist:入山浩章

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 アルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』から1年半ぶり、EPとしては3年2ヵ月ぶりとなる最新EP「仮のまま定着したような愛情で」を発表したクリープハイプ。昨年はキャリア史上最大規模のホール&ライブハウス・ツアー、アリーナ・ツアーを行ったが、今作はそのライブでのノリやバンド感が活きた4人の呼吸までもが聞こえてきそうなアンサンブルが心地よい。一発録りとなった「生きてみます」を含め短期間のレコーディングで今のバンドの空気感を封じ込めたと言う。
「今回は、テイクの判断も勢いを大事にしていましたね。もうこれでいいんじゃない、次行こうみたいな感じで。インディーズの頃には、1日で何曲も録らなきゃいけなかったので、それに近い感覚でした。結果的に、潔く、勢いのあるテイクが録れたんじゃないかなと思います」(小川)
「僕自身はこういうスタイルのほうがやりやすいなと思っているので。のびのびとした演奏が録れた気がします」(小泉)
 制作は主に、尾崎による弾き語りのデモをもとにスタジオに入りバンドで作り上げていった。完成した5曲は、シンプルでありながらも4人それぞれの濃い味が出ている。肩肘を張らず、それでいて遊び心が効いた曲のなかで、皮肉も愛嬌もたっぷりの人物が活き活きと生きている。つまりは、新しくも愛すべきクリープハイプの曲たちが揃った作品だ。
「あまり細かいことを気にしていないというか。好きで聴いてくれている方にだけ届けばいいという、それ以外はほとんど見ていないような感覚がありましたね。これまでよりさらに明確に、どこに届けるかということを意識しました。意識したというか、逆にもうほとんどしていない。そんな理想的な状態でやれました」(尾崎)

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 また今作では、「私の歌」などどこかバンドマン・尾崎世界観の心の声が聞こえてくるような曲もあるが、「そういうふうに見えるように細工をしている」と語る。
「もう散々ひねくれた感覚で書いてきたので。まっすぐに思ったまま書くことはこの先ないかもしれませんね。例えそういうふうに見える歌詞でも、自分がそれをやるという時点で、どこか皮肉っぽさがあると思うし」(尾崎)
 この「私の歌」では、ドライブ感のあるビートとともにメロディに絡むギターが、サウンドを加速度的に鮮やかにする。
「個人的には「私の歌」のギターがいちばん悩みました。こういう曲だと今までなら、ファズというエフェクターを踏んでハイポジションでリフを弾いて、とやりがちなんですけど、そこをすべて排除して、限られたなかでアレンジしていこうと思ったんです。なんとなくのとっかかりができてからはスルスルと出てきたんですが、そのとっかかりを見つけるのが大変な曲でしたね」(小川)
 疾走感のある「タヌキネイリ」や小川曰く"ドヤ感"たっぷりのギター・ソロが冴える「口の中」、また「痛々しいラヴ」は、いわゆるクリープハイプ節とは一線を画したメロディが新鮮だ。
「クリープハイプで歌うようなメロディではないし、これまで作品にはしてこなかったんですけど、たまに出てくる感覚はあるんです。アルバム曲とも違うし、EPというサイズ感であれば入れられるかもしれないなと思って」(尾崎)
「僕は、こういう曲が好きですね。淡々と演奏しつつも、自分の心のなかではいろいろと波が起きているというか。演奏していてもすごく感情が入るんです」(小泉)
 シンプルなミドル・チューンは、キャリアを重ねた今の4人だからこそ叙情的に、饒舌に響く。
「余白が多い曲なので、そのなかでどう過ごすのが正解なのか、それを理解するまでに時間がかかりました。実際にレコーディングで録れたものは、メンバーそれぞれが、頭で考えて音を出していないというか。台本を読んでいない、本音で音を出している感じがあって。いい音が鳴っているなと思います」(長谷川)

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 一発録りとなった「生きてみます」も然り、このEPには4人ならではのタイム感や艶のある音が詰まっている。
「やっとそういう音が出せるようになってきました。最近は、そういう音こそが、このバンドにとっての魅力的な部分だと思っています」(長谷川)
 5月からライブハウス・ツアーが始まっている。ここで、4人の音の魅力を間近で感じてほしい。
「EPの曲をどこまでやるか、まだわからないですけどね(笑)。この作品を作ったから、今こういう気分になりました、というツアーでもいいと思うんです。曲も大事ですけど、何より今の気分を大事にしたいので。それを踏まえてセットリストを考えたいなと思っています」(尾崎)
「昨年のホールや、アリーナ・ツアーもいい内容だったんですが、もともとはライブハウス出身なので。"今、こんな筋肉がついているぞ"というのを見せられたらと思います」(長谷川)

PROFILE

くりーぷはいぷ
尾崎世界観(vo&g)、小川幸慈(g)、長谷川カオナシ(b)、小泉拓(ds)。'12年、メジャー・デビュー。'25年にはホール&ライブハウス15公演、アリーナ4会場8公演のキャリア史上最大規模の全国ツアーを成功させた。本年5月27日、最新EP「仮のまま定着したような愛情で」をリリース。現在、ライブハウス・ツアーを開催中。
アルバム

EP「仮のまま定着したような愛情で」
発売中
4950円(税込) UMCK-7315[DVD付初回限定盤]
2200円(税込) UMCK-1828[DVD付通常盤]
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