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adieu

2026.05.01

  • CATCH EYE

INTERVIEW

様々な感情や心の機微を採取した、
刹那的な感情が詰まった作品になりました。

text:吉羽さおり photo:福井麻衣子 
editor:武内和子(ぴあ)/幡野美和子(ぴあ) 
hair & make:進藤南南(AVGVST) 
stylist:KUMIKO SANNOUMARU

adieu[上白石萌歌]写真

 adieuの表現したい音楽にクリエイターを巻き込み、作品へと昇華するプロジェクトから先日リリースされたEP「adieu 5」。この作品は、adieuの活動のひとつの集大成となったと語る。
「(2017年公開の)映画「ナラタージュ」で、野田洋次郎さんによる同名主題歌でadieuとして活動を始めて。2019年に身元を明かして、『adieu 1』以来4枚のミニ・アルバムをリリースしてきました。adieuの裏テーマが“adieu is adieu”で、adieuがやりたいことを突き詰めているんですけど、今でもadieuと表現者としての上白石萌歌がイコールになっていない方が多いと思うんです。でも今回の「adieu 5」はadieuとしてかっこいいと思っていることや、美しいと思っていることを突き詰めた作品になっているので、“adieuは紛れもなくadieuです”という意思表明になる自信作ができました」
 これまでYaffleや小袋成彬、カネコアヤノ、川谷絵音などが参加して、adieuの世界観を作り上げてきたが、「adieu 5」では、3曲目のタッグとなる柴田聡子を始め、柳瀬二郎(betcover!!)、比喩根(chilldspot)、澤部渡(スカート)といったお馴染みの布陣に、JQ(Nulbarich)、luvisという初参加のアーティストも加わった。全6曲で6様の曲だが、それぞれの曲に気持ちのいい余白があって、心のざわめきや凸凹とした感情にすっと寄り添ってくれる。体を柔らかに受け止めるクッションにも似た心地で、まんじりともしない夜をともに過ごしてくれる1枚だ。

adieu[上白石萌歌]写真

「例えば、「元気?」は柴田聡子さんが作ってくださった曲で。私は柴田さんの歌もエッセイも大好きで、人の心の機微や心の内の自分にしか聞こえないひとりごとを、こんなに美しく歌にする方がいらっしゃるんだなと思っているんです。今作ではそんな「元気?」を軸に、初めてタッグを組ませていただいたluvisさんの「ブルーアワー」では、微熱感と言いますか、自分は静かなんだけど、体のなかを熱が駆け巡っているような曲ができたりもして。全体のテーマをひと言で言うのは難しいのですが、様々な感情や心の機微を採取した、1曲1曲に刹那的な感情が詰まった作品になりました」
 MV曲にもなった「ブルーアワー」の歌詞に出てくる〈あわい〉という言葉の持つニュアンスや温度感は、まさに今作のイメージにぴったりだろう。
「人の感情は移ろうもので。自分という人間もひとつの面だけではなくいろんな側面も含めての自分であって。その“あわい”のなかを揺らぎながらも、自分って何だろうとか、今を生きるってどういうことなんだろうとか、そういうことが詰まっていると思います」
 “あわい”という曖昧でいて美しいモーメントが、無邪気な子供のような、また哲学的な深みも湛えたadieuならではの歌声でマジカルに彩られていく。独自のグルーヴを持つ柴田聡子の曲は「どんなふうに展開をしてくのか想像がつかなくて。歌っていてもどこへ行ってしまうんだろうっていう感覚がある」と、その浮遊感をも楽しむ仕上がりだが、澤部渡の「植物園」では、懐かしい記憶を繊細になぞる歌声がエモーショナルだ。
「あまりにも歌詞が美しくて、レコーディングで泣きそうになって、『声がかすれてるけど大丈夫ですか?』って言われたくらい(笑)。〈ナイーヴな子供が みんな/ナイーヴなまま大人になるわけではなかった〉っていう歌詞が、好きなんですよね。自分もナイーヴで恥ずかしがり屋な子供だったので。でもそのまま大人になれるはずもなく、誰しもいろんな形で自分のあり方を模索して生きやすい自分を選んで大人になっていくと思うんですけど。この曲はそういう自分が棚の奥にしまっていた弱さや嫌いな自分も愛してもいいよって思わせてくれるんです」

adieu[上白石萌歌]写真

 柳瀬二郎による愛すべき“ネクラポップス”「泣いてしまいそうだ」や、JQによる「Untitled」は年齢とともに解釈が変わりそうな曲だと言う。また「比喩根さんには私のじっとりと暗い部分も理解してもらっているので、自分の心のままに歌える」と語る「ナイトバード」では、闇夜を駆け抜けて朝を連れてくる強さも滲む。
 今年は「adieu 5」を携え、よりadieuを知ってもらう1年にしたいと言う。「ACO CHiLL CAMP 2026」を始めフェス出演も決まっているが、5月30日には神奈川・KT Zepp Yokohamaで、ワンマン・ライブを行う。新たなエレキギターを手に入れ、「ブルーアワー」のMVではギターも弾いているが、今回のステージでもその姿を楽しみにしたい。
「アルバムのテーマでもある夜明け前の空の色や、いろんな気持ちの“あわい”にいるものを、私たちは超えていくんだっていう強い意志を込めたライブになると思います。adieuでは初めてライブに来ましたという方もいらっしゃるので、いい体験になってほしいです。自分もライブに力をもらっているひとりなので、みなさんにとってもそういう場所になればいいなと思っています」

PROFILE

あでゅー
上白石萌歌のクリエイティブコンソーシアム。'17年、映画「ナラタージュ」の主題歌にてadieuとしてデビュー。豪華クリエイターが参加する良質な作品は都度話題を呼び、リスナーからの支持を集めている。本年4月22日、最新EP「adieu 5」を発表。5月30日にはKT Zepp Yokohamaにてライブを開催。
アルバム

EP「adieu 5」
発売中
9800円(税込) SRCL-13674/5[BD付初回生産限定盤]
3800円(税込) SRCL-13676[通常盤]
ソニー・ミュージックレーベルズ
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