「貴族のスマホから」第9弾『小道具は大事』

小劇場時代の紅雅様。
「オッペラ座の怪人」では、
怪人の異母兄を演じ最後は、その手で怪人を撃つという悲劇なのだが。

なのだがしかし。

このシーンでは既に胸の内ポケットに拳銃を潜ませておかねばならないのに、
紅雅様は舞台袖の団員に何故か颯爽と小道具の拳銃を手渡し、舞台に出て行ってしまわれた。

舞台袖の団員達がそれに気づいたが時すでに遅し。
ラストまで舞台袖に戻る事はない紅雅様を見守るしかなかったという。


当のご本人もこの後異母弟である怪人と歌を歌うシーンの直前、その事に気づき、歌は上の空。怪人役の銀河様が歌う姿を眺めながら心の中で
「銀河、すまない!すまない銀河!私は…私は…拳銃でお前を撃つ事はできない!あとでびっくりしないでくれ!頼む!いいか、私は私は、指でお前を撃つから!」


ラストのシーンがやって来て、紅雅様の胸元から出るはずの拳銃の代わりに指で作った鉄砲に撃ち抜かれた銀河様。
色んな意味で驚愕の表情を湛え崩れ落ちる中吐いたセリフがこちら。

「お前…拳銃…持ってない…」バタリ。
絶命。

この回の後の楽屋は沸きに沸いたという。
海外ドラマ24ばりに、それぞれの「その時」が披露されてそれ自体がドラマであったと。
小道具は大事、と気付かされた公演であった。
(にも関わらず、2020年に悲劇はあいざわによって繰り返された訳で)

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