Blog「渋柿の季節」
2020.09.23
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あえて言うようなことでは無い
と思っていたので
言っていなかったのですが
うちの爺さまが今年の春に天寿を全うしまして
僕はその瞬間には立ち会えなかったのですが
家族からは、とても安らかな最期だったと聞いています
秋という季節は
爺さまや婆さまが干し柿を作っていた風景が思い出されて、とても好きな季節でございます
うちの庭には二本、柿の木が生えておりまして
渋柿なんですが、この季節にはたくさん柿がなってくれます
僕が高枝きりバサミを持って
爺さまがカゴを持って、どんどん収穫していく
時には屋根の上に登ったりなんかしながら、手バサミで獲ったりもするんですが
当時、90歳前後の爺さまがはしごを使ってスルスルと登っていくんですから
ギネスに載っちゃうくらい長生きするんじゃなかろうかと
孫心にけっこう信じていた記憶があります
その柿を婆さまがどんどん皮を剥いて
紐に括って、軒下に吊るしていき
干し柿にしていきます
まだ小さかった僕は、
柿を収穫するのは楽しかったんですが
正直なところあまり干し柿が好きではなくて
お茶の時間にはお煎餅とか、お菓子ばっかり食べて
干し柿は家族に「うまいから食べな」って言われて渋々ひとつを口にするような
そんな子どもでございました
今年は爺さまの葬式以降、地元に帰れていないわけですが
そろそろ実家の庭には
渋柿たちがたくさんでき始めているんだろうなあと思うわけです
僕が獲らなければたぶん誰も獲らないので
折を見つけて帰ることができたらとも思うんですが
あの時の干し柿を、もうひとつかふたつでも
多く食べていればよかったなあと思う
そんな渋柿の季節でございます